2009年11月1日日曜日

「進む」とは何か!?


10月末、北京の中央音楽学院で開催された電子音楽祭に行ってきました。昨年につづき2度目です。の中で行われるEMSAN(電子音響音楽協会アジアネットワーク)に参加するのが私の主な目的でした。
 今年のは「交互(Interaction)」を音楽祭テーマに掲げ、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、アメリカの各国から、いくつかのスタジオが夫々の本拠地で制作した作品でコンサートを開き、また、北京中央音楽学院むけのマスタークラスを開きました。欧米のプレゼンテーションをこれだけ並べてみると、やはりそれぞれの国の技術的・社会的事情が見えます。当然、音楽に関する思想もそれぞれなので,学生の方々にとっては大変有意義な1週間だったのではないかと思います。
 東京での「電楽」を目前にひかえ、私は北京でも空き時間をみつけて今回の作品のことを色々やっていましたので、今回は全く観光なし! 残念でした。
 さて、今回「電楽」に出品させていただく拙作『整列効果』ですが、作曲のきっかけは新美さんの映像を見て、これと似たことが音楽でできないか、と思ったことです。その映像がどんなものか、というのは、実際に「電楽」コンサートにお出かけいただいて、見ていただければ、と思っているのですが、ヒントとしてタイトルのことをここでお話したいと思います。
 タイトルの言葉である『整列効果』について、インターネットで下記のように定義されているのを見つけました。
 地図の記憶をもとにして方向判断を行う場合,記憶時の地図の向きと判断時の向きとの一致・不一致が,正答率に影響を与える
 これを私なりに解釈して、一定の方向を向いてるだろうという指向性に関する「思い込み」が,本当の現実空間とは異なる認知空間を作りあげる、というふうに考えてみました。それを音楽や映像で行う、と。
 で、作品は、とても単純な、あるひとつの方向を向いて進んでいくのですが、日常的に私たちが囲まれている時空間の中の「あるもの」を同定できるにもかかわらず、「ズレ」が生じているために確証が得られない状況が続きます。一瞬だけ「ズレ」が補正されますが、また、最初に指定された方向へ進んで行きます。
 音楽にとって永遠の課題であるところの、「進む」とは何か、について考えたつもりです。

正会員:水野みか子

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