2010年10月18日月曜日

ニューヨーク頼り?(3)

tt事務局員です。
深澤会員の「ボストン便り」、松尾会員の「香港便り」に続き、私も「ニューヨーク頼り?」第三弾を…。
ニューヨークの地下鉄の名物といえば、前回書いたオブジェ以外に、さまざまなパフォーマー達の存在があります。プラットフォームや、電内でユニークなパフォーマンスを披露する人達が多いのですが、
最近、iPhoneだけで演奏するロックバンドが出現したようで、動画サイトでその演奏を観ました。なかなか面白いので紹介します!


演奏の模様は

2010年10月17日日曜日

松尾祐孝の香港便り・第3弾

楽屋でのツーショット! ISCM香港支部会長=陳錦標(Joshua Chan)氏(左)と筆者(右)

ISCM香港支部主催の現代音楽祭<MUSICARAMA>は、地道に運営されている素晴らしい催しでした。毎年1団体が海外から招聘されていり模様で、また3名程の作曲家がフィーチャーされてフォーラムも開催されているようです。香港の作曲家や聴衆は、日本の現代音楽の動向に強い関心を寄せています。今後の交流を促進できるよう、双方の協力を推進していきたいものです。


今年の海外招待団体が next mushroom promotion たっだ訳ですが、数年前にはTokyo Brass Quintet  が招待されています。先月にレポートしたポルトガル支部の場合も同様でしたが、国内の会員作曲家の発表を確保すると共に国際交流も推進する開催内容になっています。我々現音も、もっともっと国際的な内容を毎年のシリーズに盛り込みたいところですが、昨今の文化支援の低迷と社会環境の悪化が行く手を阻んでいる現実の前に、思案を余儀なくされているところでもあります。


そのような中で今年度から来年度にかけて展開する創立80周年記念事業に、皆さんの注目を支援を、是非ともよろしくお願いいたします。先日そのオープニング・イベントと連動して開催された「第27回現音作曲新人賞」ではイタリアとの国際協力が始動しましたし、12月には(主催公演ではありませんが)ポルトガル支部レジデント・アンサンブル=Sond'Ar-te Electric ensemble の来日公演が予定されています。更に2月には毎年恒例のISCM海外作品紹介企画=<世界に開く窓~西欧特集>も開催されます。今年度事業=日本現代音楽協会創立80周年記念シリーズvol.1/現音特別音楽展<協創~新しい音楽のカタチ>の今後の公演に、どうぞご来場ください。


そして、next mushroom promotion の皆さんは、帰国後すぐの10月30日に大阪で自主公演を行います。皆さん、応援に駆けつけましょう!
http://hornplayer.ld.infoseek.co.jp/page029.html
http://kinoko2001.music.coocan.jp/
では、今回の香港レポートはこれでお開きにいたします。
(記事:松尾祐孝=創立80周年記念事業実行委員長/10月17日/香港にて)

松尾祐孝の香港便り・第2弾

終演後のステージで next mushroom promotion のメンバーと記念撮影!
左から、辺見康孝(vn.)、筆者、福井とも子(作曲家・芸術監督)、山本典子(pf.)、奥田律(fl.)、
上田希(cl.)、多井智紀(vc.)の各氏。


ISCM香港支部主催の秋恒例の現代音楽祭
=<MUSICARAMA2010>の今年の海外招待団体=next mushroom promotionの公演は、昨日無事に盛会の内に開催されました。
現代音楽作品をまるでロックやポップスのように飄々と楽しげに演奏してのける各メンバー(fl.:奥田律、cl.:上田希、pf.:山本典子、vn.:辺見康孝、vc.:多井智紀)の演奏に、拍手喝采の連続の公演になりました。(プログラム等は音楽祭HP http://www.hkcg.org/musicarama10/index を参照してください。)
香港の作曲家の作品3曲と日本の作曲家の作品4曲によるバラエティーに富んだプログラムとNMPの演奏は、実に刺激的でした。聴衆に若い世代が多かったことも印象的で、おそらくは10代と思われる若者多数が、客席最前方に陣取って、次々と繰り出される現代奏法を食い入るように見つめながら聴き入っていた姿がほほ笑ま
しくまた頼もしかったです。ISCM香港支部会長=Joshua Chan氏にもとても喜んでいただき、終演後には、ISCM香港支部ト日本支部の交流を今後ますます深めて行こうと語り合いました。
(記事:10月17日/香港にて)

2010年10月16日土曜日

松尾祐孝の香港便り・第1弾

国際的な省エネルギー指向の影響で、かつてよりも明るさは半減した感じですが、
それでも幻想的なまでな美しさです。九龍側より香港島を望む夜景です。

ISCM香港支部主催の秋恒例の現代音楽祭=<MUSICARAMA2010>に来ています。
今年の招待作曲家3名の一人として招待を受けて、レクチャーとコンサートに出席することになりました。併せて日本の現代アンサンブルの紹介も依頼されて、next mushroom promotionの皆さん(芸術監督:福井とも子=当協会国際部長、fl.:奥田律、cl.:上田希、pf.:山本典子、vn.:辺見康孝、vc.:多井智紀)と共に14日から香港入りして、到着早々からリハーサルが始っています。
メンバーの皆さんはとても熱心で、公演の成功が予感されます。現地のオーガナイズの組織的で、国際都市香港を実感しています。

今日15日夜には、私のレクチャーがありました。英語でのレクチャーで通訳無しという環境でしたが、フランクに且つ熱心な受講者に恵まれて、サンプルCDの再生やスコアの提示を挟みながら、日本及びアジアの伝統楽器を現代作品に取り入れる事や、カルチャー・アイデンティティーについて講演しました。質疑応答も含めた充実した時間になりました。
ISCM香港支部会長=陳錦標(Joshua Chan)氏がインタヴュアーとしてサポートしてくださいました。レクチャー会場では良い写真が撮影できなかったので、今回は替わりに100万ドルの夜景をアップしておきます。
明日はいよいよnext mushroom promotionの香港公演です!
音楽祭HP 
http://www.hkcg.org/musicarama10/index
(記事:10月15日/香港にて)

2010年10月13日水曜日

ボストン便り (4) 〜会員:深澤舞







 ボストンもすっかり秋が深まり、もうすぐ零下というところまで冷え込む日も出てきていますが、先週末は穏やかに晴れ、Harvard squareでオクトーバーフェストが催されました。各国の食べ物やこの時期旬のアップルサイダー(こちらでは発泡酒ではなく、絞りたてのアップルジュースのことを言うそうです)などの屋台のほか、服や雑貨や様々な出店が、広場を中心とした一帯に並びます。もともとはドイツ発祥のビールのお祭りのオクトーバーフェストですが、マサチューセッツ州では野外の飲酒は禁止。ということで、ビール売場の横には小さな柵で囲われたスペースがあり、角に立つ警官の方が見ている中(何だか落ち着いて飲んだり酔ったりもできなさそうですが・・)、この日だけは飲酒可のコーナーも用意されていました。

 そして、毎年特設ステージや路上では、1時間ごとに出演者が代わりながらライブ演奏が行われます。ライブ演奏は主にマーチングバンドの出演者が多く、目に眩しい秋空に、ブラスの音が高らかに響いていました。実は私は、マーチングバンドの生演奏をちゃんと拝見したことがなく、美しく列を成しながらパレードを行進していくようなイメージがあったのですが、このようなフェスティバルで見るマーチングバンドは、ジャズやキャバレー音楽に近い独特のアレンジに、各楽器のアドリブや踊りもあり、変幻自在な音のショーを見ているようでした。今年は2,3カ所でしか演奏を見なかったのですが、昨年1番注目のマーチングバンドはHungry March Bandというニューヨーク拠点のマーチングバンド、大きな人だかりと歓声に囲まれ、見ている人も一緒に踊り始め、大変な盛り上がりでした。

 お父さんの肩の上で自然とリズムをとり体を動かす小さな子の姿を見ながら、誰もがそれぞれ生まれ持っている音楽を改めて感じます。以前、電車の中で、黒人のお母さんと幼稚園くらいの女の子がリズムに乗せたことば遊びをしていたのですが、そのあまりのリズム感のよさに、車内中の注目を集めていたことがありました。自分の中に脈々と流れる懐かしい音たち、体に深く刻まれたリズム、マーチングバンドの音楽を背に、遥かに耳を傾けました。この日、ボストンの北の郊外では雪が散らついたそうで、今年の初雪ももう近そうです。




2010年10月8日金曜日

第27回現音作曲新人賞受賞の言葉〜山本哲也



 今年2月のハープレクチャーの帰りに、音楽評論の西耕一氏に故・富樫康先生のご自宅前まで案内していただき、塀の外から本コンクールへの決意を誓いました。その甲斐あってか、今回応募三回目にして悲願の受賞となりました。

 拙作を演奏してくださった溝入敬三さん、片岡詩乃さんには本当に素晴らしい演奏をして頂きました。お二人の演奏なしには今回の受賞はありえなかったと感じています。本当にありがとうございました。

 審査員のお三方、糀場先生、北爪先生、松平先生に拙作を評価していただけたのも非常に大きな自信になりました。これを糧にこれからもより一層精進してまいります。本選出場者の皆さまとあまり親密な会話が出来なかったのが心残りですが、大変貴重な経験となりました。

 最後になりますが、今までお世話になった皆さま、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございます。

 私は現代音楽のコンサートには割とよく出掛けますので、またどこかでお目にかかりましたらよろしくお願いいたします。

山本哲也(やまもと・てつや)


後列左から:坪能克裕日本現代音楽協会会長、北爪道夫審査員、篠崎史子オブザーバー、糀場富美子審査員長、松平頼曉審査員、佐藤昌弘日本現代音楽協会事務局長
前列左から:竹岡智行、山下創太、山本哲也、田口和行、ダニエーレ・ヴェントゥーリ

2010年10月3日日曜日

2台のハープのための無言歌 中川俊郎

①一見「歌」とはほど遠いバリバリの現代音楽に、「無言歌」というタイトルをつけた理由は、音楽というのは根本的に、何らかの歌(または「誰か」の声)であるという、私個人の考えに基づいています。
歌には感情や、感情をともなった思想が宿ります。 「祈り」も歌に宿り、わたしたちを今ここではない、どこか素晴らしい場所…、または、私たちが自分で気づいていない、私たちの心の奥底(心理学でいう、潜在意識を感じられる場所?)へ一時的に誘(いざな)い、元気づけてくれさえします。
私のような前衛的な作風でも、こうした効果があることを信じています。

②作品の書法について。 ハープは、本質的にダイアトニック(全音階的)な楽器です。オクターブ内に7つの音しか設定できません。つまり作曲家の中に隠れているダイアトニック性、旋法性と、自ずから向き合わなくてはならなくなります。私は、これを作曲家にとって自分の作風を広げるありがたいチャンス! 柔軟性を試される好機…と受けとめることにしました。 それでも、頻繁なペダルシフトを要求する事態になってしまいました(泣)ので、偉そうなことはいえません。
私の苦心惨憺はみもの(!?)だと思いますから(同時に、申しわけないですが、名演奏家お二人のアクロバットも!)、物見遊山で聴きにいらして下さると、ありがたいです。

③引用について。「ひとの褌(ふんどし)で相撲をとる」こと。これは難しい。自分が履けるサイズかどうか見極め、また洗濯をし、持ち主の垢を落とさなければなりません。     
私にとって引用は、他人と自分はどこかでつながっている…(どんな人どうしも)、という私の発見を唱え、表明する手段でもあります。

④アクロバットといえば、曲の冒頭です!  左足を右ペダルに移して、操作するために、身体を捻るなり、無理な姿勢をとらなくてはなりません。このために奏者に対しては、スカートでなくズボンの着用が、義務づけられています(!)。             


⑤10/4に演奏されるのは、二台のハープ版ですが、さらに10/24(土)に、一台のハープとエレクトロニクスによる「無言歌 B.」 が、蒲池愛さんとの新たな共作、ハーピストも斎藤葉さんにバトンタッチして、発表の予定です。両者を聴き比べることによって、変奏、またはバロック組曲の「ドゥーブル(ダブル)」、また一曲丸々「引用」ともいえる興味深い概念を、じっくり味わうことが出来ると思います!
 


中川俊郎

2010年10月1日金曜日

新人賞入選者からのメッセージ(5)山本哲也



『誤謬』

作曲の山本哲也です。

さて、今回上演される《誤謬》について簡単に紹介させていただきます。演奏時間は約7分と比較的短い作品ではありますが、短い中にもかなり密度の濃いアンサンブルが要求されます。細かいリズム、奏法の指示、強弱…などなど、これらは頻繁に変化し、常に音楽は流れていきます。さらにこれらをタイトに合わせていくには高度な集中力も必要となり、体感時間としては決して短いとは感じないでしょう。演奏してくださる溝入さん、片岡さんにも「7分とは思えない」とのお墨付きを頂いております。

こちらは余談ですが、本選会当日は大学の作曲試験の譜面提出の日でもあります。日夜締め切りに追われて作曲をしておりますが、当日果たして元気な姿で皆さまのお目にかかれるのでしょうか?どうぞお楽しみに(?)。

最後に、せっかくなので9月29日のリハーサル後の写真を掲載いたします。リハーサル会場は高田馬場にある「diglight」というライブバーです。