2009年11月30日月曜日

〈現代の音楽展2010〉日程


日本現代音楽協会創立80周年
〈現代の音楽展2010---人間性と共に歩む現代音楽〉
芸術監督:堤剛
●チェロ・アンサンブル展
2010年2月14日(日)
13:30開場/14:00開演
府中の森芸術劇場ウィーンホール
制作:佐藤昌弘
●世界に開く窓〜ISCM“世界音楽の日々”を中心に〜北米特集
2010年3月3日(水)
18:30開場/19:00開演
東京オペラシティリサイタルホール
制作:国際部、松平頼曉
●箏フェスタ
2010年3月6日(土)
16:30開場/17:00開演
洗足学園前田ホール
制作:現代音楽教育プログラム研究部会、松尾祐孝
●コンチェルトの夕べ
2010年3月18日(木)
18:30開場/19:00開演
杉並公会堂大ホール
制作:日本現代音楽協会理事会、安良岡章夫

2009年11月27日金曜日

現音・今昔(8)ISCMの作曲家による「音楽づくり」

2001年に「世界音楽の日々・横浜大会」が開催された。各国の作曲家が集い、作品をもって交流を深めて行った。多数のプログラムがあり、どれも優れた企画の日々だったが、そこで前代未聞のコンサートが開催された。
 子どもたち・現代音楽・音楽づくり、がキーワードの大会もあった。そこに「世界から参加している作曲家も“音楽づくり”をしたらどうか」というアイディアを基にしたプログラムが誕生した。
 音楽づくりのプロ。一音のこだわりには誰にも負けないひとたちだ。聴け!オレがオレが、もある。作曲の仕組みやルールも熟知している・・・それは傍目には筆舌に尽くしがたいほど素晴らしく面白かった。
 夢中に音を出す日本の音楽家に(英語で)「キミ“間”って知っているか」と言うひとや、唯我独尊の境地のひとや、演奏のナルシストや・・・・
 本体の企画とは別に話題になったコンサートだったが、多分“空前絶後”の音楽界曼陀羅が生まれていたことでしょう。
 ・・・子どもたちと、一般市民たちと、そして専門家と、十年近い多数の活動実績をもって、’00年春、現音に「現代音楽教育プログラム研究部会」が誕生した。
坪能克裕

2009年11月26日木曜日

器楽アトリエ写真レポート〜その2


左上:木下正道さんの作品を演奏するvn吉井友里さん、vn本吉理路さん、vc持田遥さん、va大角彩さん
右上:自作を語る新田祥子準会員とアティレ弦楽四重奏団(vn中澤沙央里さん、vn原田百恵実さん、va福田道子さん、vc松井洋之さん
左下:オリジナル奏法を説明する門脇治会員と、実演するvn澁川ゆいさん、vn鈴木勇人さん、va栗原由樹さん、vc樋口健人さん
右下:門脇会員の作品についてディスカッションする堤芸術監督

撮影:熊谷美奈子

器楽アトリエ写真レポート〜その1


左上:挨拶する堤剛芸術監督と、金子仁美プロデューサー
右上:尾高惇忠会員と矢口里菜子さんが作品についてディスカッション
左下:水野由紀さんの演奏に聴き入る
右下:中西哲人さんのワークショップ風景

撮影:熊谷美奈子

2009年11月25日水曜日

府中の森にチェロ・アンサンブルが響く


tt事務局員です。
公演打ち合わせのため「府中の森芸術劇場」に行ってきました。
大都会新宿から、たった26分電車にゆられただけで、そこには緑豊かな文化の街が広がっています。車窓からの紅葉が美しい今日この頃。
京王線東府中駅は、浅間山、府中の森公園、府中美術館、そして府中の森芸術劇場の最寄駅です。
来年のバレンタインデーに、この府中の森芸術劇場で、チェロの響きを十二分に楽しんで頂く企画を開催するため、只今準備中です!
世界的チェリストである堤剛芸術監督がお勤めの桐朋学園には、チェロ専攻生の自主的参加により構成されたチェロ・アンサンブルがあります。今回の企画ではこの「桐朋学園チェロ・アンサンブル」にご出演を願い、また、現音会員作曲家は、チェロ・アンサンブルの今後のレパートリーになればという想いを込めて、チェロ・アンサンブルのために新作を書き下しました!
詳細は追ってお知らせ致しますので、今後も現音ブログに是非ご注目下さい!

2009年11月24日火曜日

現音・今昔(7)子どもたちの現代音楽による「奇蹟」— II

ミレニアム企画が取り沙汰される頃、東京近郊の市民ホールでは“クリスマス・コンサート”が開催された。その内容は市民の日頃の成果を、全体のコンセプトを基にプロのオーケストラとともに発表する、という内容だった。
 そこに地元の小学校5年1組の児童が、自分たちの“オリジナル”作品を発表することが加わった。その学校は過去にロンドンシンフォニエッタの「音楽教育プログラム」が入った経験があったが、5年生にとっては初めてだった。
 クリスマスの一ヶ月前に“音楽づくりワークショップ・リーダー”が一回90分児童と“音楽あそび”をして、音楽の“仕組み”を伝えた。楽器は音楽室にある小物打楽器・リコーダーと、身体を叩く“ボディークラッピング”だけ。
 その後、子どもたちは“作戦会議”を重ね、音楽教師・担任教師を頼らず、自分たちで秘密の音楽を作り始めた。
 本番直前のリハーサルで、初めて教師を含むスタッフ一同は、子どもが何を作ってきたか知ることになった。舞台一杯に7つ程に分かれたチームが同時に“花火”のように、ボディーを叩き、リコーダーを吹き、ダンスの要素を加えて表現していた。それを見て指揮者と(オケピットの)オーケストラは、その世界が生かされるようなコラボレーションを同時につくり始めた。
 ゲネプロで、初めて分かる創造世界が出来上がった。現代音楽の手法と表現を借りてはいるが、子どもが考え・つくり・表現することを、プロがサポートして協働する世界が初めて誕生した瞬間だった。
 圧倒される音と表現の渦に、作品が終わっても聴衆は拍手することさえ忘れていた・・・
現代音楽には、子どもたちにとって未知の表現の可能性を秘めている証拠が、そこにはあった。
坪能克裕

2009年11月20日金曜日

富樫賞受賞の言葉


現音ブログをご覧の皆様、こんにちは。第26回現音作曲新人賞本選会にて富樫賞を頂きました、田口和行と申します。
今回の受賞は、多久潤一朗さん、相川麻里子さん、藤原歌花さん、西山健一さんによる素晴らしい演奏・アンサンブルがあってこそのものだと思います。リハーサルの時から様々なアイデアを惜し気もなく提示して下さり、私の拙い楽譜と言葉足らずな会話にも拘わらず、豊かな音楽を生み出して下さいました。また、皆様の音に対する責任感を目の当たりにし、音楽家は斯くあるべきか、と今更ながら痛感することでした。4人の素敵な演奏家の皆様に、心より感謝致します。
加えて、3人の素敵な作曲家の皆様との出逢いは、貴重な経験となりました。コンクールだというのに殺伐とした雰囲気は無く、お互いの楽譜を見せ合ったり、其々の作品の感想や各々の作曲に対する姿勢を語り合ったり、etc…。中でも、新人賞を受賞された村瀬晴美さんは、私が目指す「現代音楽とポップスの高次元での共存」を既に実現されていて、同世代の作曲家として意識するだけでなく、今一番の憧れの作曲家と云っても過言ではありません(サントラを聴きながら、この原稿を書いております)。
私にとって初めての東京滞在でしたが、東京オペラシティで演奏して頂き、現代音楽を愛していらっしゃる方々に聴いて頂き(鹿児島から聴きに来て下さった方もいらっしゃいました)、日本が誇る音楽家の皆様に審査して頂き、その上、身分不相応と思えるような賞まで頂き、有り得ないくらいに刺激的な時間を過ごさせて頂きました。東京で出逢った皆様から頂いた課題に向き合い、再び皆様にお会いするためにも、より高い次元を目指し、日々精進して参ります。常に歩み続けることもまた「人間性の再発見・再認識・再開発」に欠かせない行為・態度だと信じながら…。
改めまして、今回の本選会に携わられた皆様に、心よりお礼申し上げます。誠に、ありがとうございました。

富樫賞受賞:田口和行

2009年11月19日木曜日

新人賞受賞の言葉


今回は、念願の現音作曲新人賞を頂き、大変嬉しく思っています。
演奏家のVcの多井智紀さん、Clの鈴木生子さんには、とても感謝しています。私の譜面から出る音楽を正確に、そして色々なアイディアを頂き、100倍以上魅力のある演奏をして下さいました。
この賞を励みに、更なる高みに精進していきたいと思います。憧れていた堤審査員長、坪能氏、安良岡氏から賞を頂いたことは、とても光栄です。
お世話になった皆様、どうも有り難うございます。

第26回現音作曲新人賞受賞:村瀬晴美

2009年11月18日水曜日

現音・今昔(6)子どもたちの現代音楽による「奇蹟」— I

「吹楽Ⅲ」が、サントリー大ホールで開催され、そこに小学生たちが“現代音楽”をつくり、発表のためにステージに出ることになった。やっと参加を了解してくれた都内の小学校児童だった。しかし器楽のバンドはクラブに無く、楽器は自校と不足分を他校から借りれば揃えられるが、それより音が出せないし、出ても二つか三つの音の児童が殆どだった。しかし、子どもたちは「サントリー大ホールに出たい」一心で決まったようなものだった。
 子どもたちは、音楽・担任の先生から「技術指導」を受けることなく、“音楽あそび”から「音楽の仕組み」を教わり、みんなの出せる一つ二つの音で「音楽づくり」することから始まった。出せる音からドローン(低い持続音)を決め、リズムパターンをひとつつくり、それらを「組み合わせて」「会話」を、リコーダーも加えてを楽しむことにした。子どもたちが意見を出し合い、教師は一切ダメ出しをせず、特別練習も取らず、子どもに任せたまま数時間あそんだだけだった。それに即興も加え、曲の最後に、全体のテーマになったリズムパターンを手拍子でお披露目することになったようだ。
 本番はトランペットからプス〜ッのス〜ッ しか出せず声を管から出していた子も、大演奏家の振る舞いで、全員暗譜で(実は楽譜が無い)堂々としていた。それは奇蹟の音楽に聞こえた。
 しかし、多くの吹奏楽関係者は「子どもにあんな難しいことを教えて!」と不評だった。一般のファンは子どもの努力を称え、数人の音楽教育関係者は絶句した。
 
坪能克裕

2009年11月15日日曜日

太陽を背負う月

この曲は、地球を中心に太陽、月、それに伴う軌道、影の関係を作曲の原理として作りました。
 チェロとクラリネット2つの楽器で作り上げることによって、鮮明に意図するものが聴こえてくると思い、この2つの楽器を選びました。
 常々、新しい発見を追い求めながら、楽器の可能性と共に、曲作りの可能性を広げていくことを、そして曲の中に、私の情感を色濃くいれていく作品を作りましたので、皆様に楽しんで興味深く聴いてくだされば、私は嬉しいです。
 演奏して下さる演奏家とのリハーサルでは、沢山のアイディアが溢れて、有意義で楽しい時間となりました。本番が今からとても楽しみです。
 現代音楽がかけ離れたものではなく、少しでも興味をもって頂き、楽しんでもらえればと思います。

現音作曲新人賞入選:村瀬晴美

2009年11月14日土曜日

パロ谷の春の祝祭に


「パロ谷の春の祝祭に」はブータン王国の「 祝祭(ツェチュ)音楽」と「民間に伝承する芸能」に着想を得たものです。私がはじめてブータンの音楽にふれたのは、ブータンの民族伝統音楽団「プンツォ・ダヤン」の来日演奏会においてです。
 彼らの手による伝統音楽、日々の暮らしに根ざした踊り、演奏、歌、それらは私がこれまでに体験したことのないすばらしいものでした。そして、それは私の音楽世界がおおきく開かれた瞬間でもありました。
 私はブータンという国に行ったことがありません。そこで生活している人々がどんな風に会話をするのか?気候や風土は?この来日演奏会での体験以外のことは書物を読み、予測を膨らませて想像の中で作品をつくるより他なかったのです。
 ただ、彼らの演じる「美しい自然の歌」や「労働の歌」も「祝祭の踊り」もすべては人々の生活や宗教観と深く結びついていて、彼らも私たちと同じように厳しい現実の生活のなかで喜び、悩み、苦しみ、その喜びも悲しみも自らが演じる芸能に投影させ、日々を生きているのだということを強く感じるのです。
 手探りの中で作った作品ですが、このたびこのように発表の機会をいただけることはほんとうに幸せなことです。また、各関係者の皆様への感謝はたとえようもありません。この場をお借りし、深く御礼申し上げます。
 そして、この曲は、短いながらも充実したリハーサルの中で演奏者の皆様からいただいたさまざまなアイデアを盛り込み、息が吹き込まれ、完成に至ったものです。数々のご指摘、助言、ご意見は私にとっての大きな財産です。ほんとうにありがとうございました。
 「現代の音楽」と「人間性」。これからも自分に問い続け、自らの音楽に投影していきたいと思います。
(写真はリハーサル会場付近の高円寺の巨木です。)

現音作曲新人賞入選:内野裕樹

2009年11月13日金曜日

まさに現代音楽コレクション! 多種多様な個性が光った「アンデパンダン展」


11月11日、12日と、2日で18作を上演した「アンデパンダン展」は、例年にも増して18人の作曲家の個性が生き生きと表現されたコンサートでした。幅広い世代の作曲家が所属している現音の縮図であったとも言えます。
写真は「アンデパンダン展第二夜」北條直彦会員作曲《饗相》の本番演奏風景。ヴァイオリンの弓が何本も切れる佐藤まどかさんの熱演、松山元さんの色鮮やかなピアノが印象的でした。

現音ブログを見て下さっているあなたへ


はじめまして。
この度、「現音作曲新人賞本選会」にて、拙作『葉桜』を初演して頂くことになりました、田口 和行と申します。
突然ですが、質問があります。
あなたは、花や木を見ていると、いつしか目の前にあるそれではなく、自分の中にある「それ」の方を見てしまっていたような経験はありませんか。
私が通っていた小学校に桜の木があるのですが、満開の桜よりも、どちらかというと、花と葉が混在する状態の方が記憶に残っています。
仕事へ行く途中に眺めていると、小学生時代の思い出がプレイバックされる訳でもないのに、「あの日の桜」の前に居るような感覚になることがあります。
もしかしたら、実物の「あの日の桜」ではなく、あの日、スケッチ大会で描いた桜の、その絵の具の色の印象かも知れません。
「あの日」がいつなのかも、はっきりと覚えていないのに…。
でも、これは後付けの言葉であって、その時点では、こんなことは少しも意識していないのだとも思います。
プライベートな例から飛躍し過ぎるかも知れませんが、このような記憶や精神世界、深層心理といった「庭」に育つ花や木を描きたいと思い、この『葉桜』を作曲しました。
これは、錯覚の果てに見える、真空に咲く花のようなものかも知れません。
そして、これはきっと日常生活の中で成長していきますので、私小説的な世界を唄うことで非日常性さえも導くシンガーソングライターのように作曲したいと思いました。
その過程が、画像のグラフです。
以上が、「人間性」というテーマから「日常」という言葉を連想した私の、短絡的で箱庭的な妄想です。
感じたままですので、残念ながら、根拠がありません。
あと数時間も経てば、あまりの恥ずかしさに卒倒してしまうことでしょう。
それでも、この曲が、あなたの「庭」に咲く花や木に気付いて頂けるきっかけとなってくれたら。
そんな祈りを込めて…。
最後になりましたが、今回初演して下さる4人の素敵な演奏家の皆さん、このような機会を与えて下さった現音の皆さん、そして、初演に立ち会って下さるあなたに。
心より、ありがとうございます。

現音作曲新人賞入選:田口和行

2009年11月12日木曜日

其のニ 中川広報部長日誌 メッセージ



パソコンをお持ちでない中川広報部長、携帯メールで原稿を送ってくださいました。
中川先生らしい文章ですよ。
私は、自作の『影法師』を、今朝顔も洗わないうちにカセットデッキに、3点吊り録音のCDR.という組み合わせで、聴いていました。目の前にあった、ジョン・ケージに関する先頃出版されたばかりの本を、途中で手に取り、ぱらぱらめくりながらです。 
『影法師』の最後は、ボレロのリズムで終わります。それもラベルのでなく、あの4拍子系の、それにあわせておもわず「じーんせーい…」と歌ってしまいがちの。ところが、とうに曲が終わったはずのところにさしかかっても、まだそのリズムが同じテンポで、聞こえるのです。拍手までのその10秒程のスペースに。 
何度か聴きなおして納得。安手のカセットデッキでは特に目立つ、CD.の回転音が、前からの流れで、自然につながって、同じ三連符に聞こえていたのですね。私はブログに乗せる文章は、これ以外ないと思いました。       
私の「個展」(10/14)おかげさまで無事に、終わりました。
まずは、ご挨拶かたがた。また追って簡単な報告をさせて頂きます。
中川俊郎広報部長
 
尚、11/15 11/22 両日とも(日) 18:00〜50, 個展の模様が、
NHKーFMで2回に分けて、放送されます。
広報部 

熱気ムンムンの小さな繊維工場


現音新人賞 本選会出場の小坂幸生です。
 作品の“小さなメリヤス工場”は、英題を直訳すると、“熱気ムンムンの小さな繊維工場”と表現できます。祖父から父へ、そして私へと引き継がれた工場は、ミシンの音、クリーニング屋さんより大きな蒸気アイロンの音、ボタン付けの音、裁断する音等がいつも鳴り響き、日本最高の製品を自負するほどの、婦人服ニット製品の製造工程の音で満載です。
 そのジーというような機械音、蒸気で製品をセットする音や臭いの感じ、裁断機の音、裁断された布地が落ちる音、ボタン付けのガチャガチャする音をどうやって皆様に理解されるか、感想をお聞きしたいところでもあります。譜面上ではその場面を想像できるような場面書きでいっぱいです。会場の皆様にその字幕テロップが流れればもっと楽しいかもしれないと思っていますし、現代音楽にありがちな暗い感じの様相を呈していません。
 さて、今回の本選会はソロで演奏活動を実施されておられる強者揃いで、演奏されるだけで幸せですし、自分自身が聞いていても楽しくてワクワクしています。
 私は15~16歳で一般の作曲家が目指す音楽専門の教育ではなく、いわゆるその大多数を占めるサラリーマンになるための学校教育を受けてきました。私は作曲家とは音大出身の方、あるいはお医者様のような学識者しかその存在を知りません。
 サラリーマン、ましてや、夜中も働く原子力等の計装・制御のシステムエンジニアに作曲家はいないと信じ込んでいます。これが私の強みでもあり、一般の労働者が働く姿、大多数を占める、サラリーマンの憂鬱や楽しさを表現できる日本唯一の存在であると思っています。私はその大多数の労働者を代表する作曲活動を、今後も行っていこうと思っています。また、私はISAS(旧宇宙科学研究所)で惑星大気(CO2の濃度測定等)の研究をしていたこともあり、本選会で聞くことができる“太陽を背負う月”がどのように表現されているか興味津々です。
 上記のことから、今回の現音新人賞のテーマが“人間性の再発見、再認識、再開発”であったことに共感し、作品を応募した次第です。

現音作曲新人賞入選:小坂幸生

2009年11月11日水曜日

11日遅れのハロウィン―「死神」、オペラシティに来襲す!


「俺と御前の前世の誼み
  ひとつ援けて遣らうぢやないか…」(死神)
現音会員の三枝木です。
今回の「アンデパンダン展」第一夜にて、「死神」と題する作品を発表します。
題名からもお察しの通り、今回の作品は古典落語の大ネタ中の大ネタ、三遊亭円朝が外国オペラを翻案して作ったといわれるあの名作に素材を求めています。高座では大抵30分前後かかる内容ですが、これを15分程度に圧縮、台本も新たに書き下ろしました。
もともとがオペラであり、しかも国内ですでに某大家の名作が存在する題材なので、無謀と言えば無謀な挑戦ですが、ピアノ伴奏の独唱曲という制約の中で、聴き手に「噺を聴く楽しさ」が伝えられれば、と願っています。
聴きどころは、まずなんと言っても、一人何役もこなさなければならない歌手の「演技」でしょうか。主人公となる男と死神のほか、老人からうら若き少女(!)まで登場する脇役を作品中では演じ分けなければなりません。落語の世界では当たり前の技ですが、“現音”のステージでは、「はてさて、どうなることだろう」(台本より)… 松平敬さんの快演をお楽しみいただけると思います。
また、ピアノは寒々しく舞い散る枯葉の道から、死神の爛々と光る両眼、洞窟の中に煌々と揺らぎ輝く蝋燭などの視覚的表現、死という抗えない現実を前にあたふたと動き回る人間たちのスケルツォなど、物語の土台骨を支えるため縦横無尽に動き回ります。大須賀かおりさんのピアノは、この無茶な(譜面はかなり無茶している事を告白しておきます…)要求にも充分応えてくれることでしょう。
さて、台本の中にひとつの仕掛け。男が死神から伝授される「呪文」です。本家「死神」では落語家が高座でお客さんの反応を見ながらアドリブで呪文を唱えるのが“慣例”ですが、本作も楽譜上では「適宜変更してよい」としてあります(ガイドラインは一応あるにはある)。今回の呪文はどんな言葉が飛び出すやら… これは蓋を開けてみないことにはわかりません。
全篇「死」を扱う、ともすると重苦しい内容となりがちですが、そうしたテーマ性とともに、寄席で気軽に噺を聴く感覚でお楽しみいただけると幸いです。
※添付画像は「赤ずきん」以来久々の作品仮想ポスターです。今回は3DCGで作ってみました。

正会員:三枝木宏行
2009年11月11日(水)
●アンデパンダン展 第1夜
三枝木宏行/「死神」~古典落語に基づくモノドラマ(2009/初演)
大須賀かおり(ピアノ) 松平敬(バリトン)

2009年11月10日火曜日

人間性と共に歩む

常日頃から現代音楽界に於ける邦人作品はその質でも量の豊富さでも世界のトップレベルを行くものだと思っております。日本現代音楽協会を初めとして、それをもっともっと前進させて行こうという運動があり、大きな流れとなっているのも嬉しいことです。実際に演奏されるチャンスはまだまだ少なく、経済的にも難しいのも確かです。
 私が現代音楽と本格的に取り組み、演奏したのは1960年に初演させて頂いた矢代秋雄先生のチェロコンチェルトでした。技術的にも難しく、表現という面でもそれまで演奏してきたものと違っておりましたので、最初は本当に苦労しました。杉並公会堂での世界初演の後、その秋のNHK交響楽団の世界旅行でワルシャワとローマで演奏出来たのは素晴らしい体験となりました。
 でも私が本当に現代曲に目覚めたのは国際コンクールで優勝し海外で演奏活動をするようになってからです。いわゆるスタンダードプロでプログラムを組んでいたのですが、外国の聴衆から「貴方の演奏は素晴らしいけれども何故日本人の作品が含まれていないのですか」と聞かれハッとしてからなのです。
 私はアメリカに留学しJ.シュタルケル氏に師事しました。先生は未だコダーイのソロソナタが一般には知られていなかった頃からその作品の演奏に取り組まれました。現代に生きる演奏家の使命として現代作品と積極的に取り組むべきだ、という強い信念をお持ちでした。今でもお会いする度に「今どんな作品を勉強しているか。最近初演した曲があるか」と尋ねられます。
 M.ロストロポービッチ氏の存在を忘れてはなりますまい。ロシア人を含め実に多くの作曲家が彼のために作品を書かれました。卓越した理解力と技術を持ってどんな難しい作品でも軽々と弾いてしまわれました。パリで彼の名前を冠した国際コンクールが催されますが、課題曲には必ず書き下ろしの新曲が入っています。技術的に至難な曲が多いので審査員の中からも「こんなに難しい作品にしなくても良いのではないか」という意見が起るのですが、氏は「作曲家の皆さんがそのような作品を書いてくれるのは私達にとって本当に有難いことなのです。それによってチェロ演奏に新しい可能性が生まれ、レパートリーが拡がって行くのですから」と言われました。
 作曲新人賞の募集テーマとして「人間性と共に歩む現代音楽」を提案させて頂きました。その理由の一つは「現代音楽」だから故に現実離れしている必要はない訳ですし、お客様と喜びをシェアしても良いと思うのです。でもそのためにはその作品が聴き手と共感し得る人間性を備えていることが大切です。音楽の本質はコミュニケーションですし、それが確実に行われるためには心から心へと伝わるメッセージが無くしてはならないからです。今自然環境の保護と人間環境の改善が声高に叫ばれておりますが、そのような事も作品の中に生かせないものでしょうか。私はチェリストですので常に楽器としてのチェロの可能性を追い求めておりますし、チェロを人間の声として響かせてくれる作品が現れる事を期待しているのです。

2009年度芸術監督:堤剛

2009年11月9日月曜日

へんたいどーぶつ


この映像は11日の「アンデパンダン第1夜」で初演される森田泰之進作曲「へんたいどーぶつ」の練習風景です。
 ひとつの楽器に弓が2つ、手が……ええっと、いくつみえますか?
 モティーフや演奏行為の「変態」をテーマにしたこの曲。9日は早朝から3時間近くの猛練習で、演奏もかなり形ができあがってきました。
 この成果は11日夜、東京オペラシティリサイタルホールで。
 演奏はヘンタイデュオ(Vl. 辺見康孝、Vc. 多井智紀)です。

正会員:森田泰之進

「器楽アトリエV」レポート


10月24日の「器楽アトリエ」に参加させて頂いた、新田祥子です。コンサートが終了して、あっという間に2週間がたちました。
 このたび、初めての参加ということで最初は不安と緊張でいっぱいだったのですが、会場のなごやかな雰囲気の中、作品を発表させて頂く事が出来ました。
 前半のゲネプロ形式のワークショップでは(写真左上)司会進行をしてくださった堤先生や金子先生が、曲の流れに沿って作曲と演奏の両方の面から質問やアドバイス等をして下さり、質問に答える形で曲についての説明をさせて頂きました。
 また演奏者の方にも、断片的に演奏して頂き、特徴的な部分は奏法の違い等も示して頂いたので、お客様にも分かりやすく興味を持って聞いて頂く事が出来たように思います。
 後半は一般的なコンサートでしたが前半のワークショップでの試みが生かされて、とても素晴らしい演奏をして頂きました♪
 演奏してくださったアティレ弦楽四重奏団の皆様には、直前の合わせだったにもかかわらず、いろいろなことにチャレンジして頂き、また奏法についてもご相談させて頂き、本当にお世話になりました!(写真右上)
 今回のコンサートは、ワークショップ形式ということで具体的にどういうことをしたら良いのかよくわからなかったのですが、実際に体験してみて、とても興味深くおもしろい試みだな〜と感じました☆
 作曲家が自分の曲について具体的に説明したり、演奏家の立場からの意見やいろいろな奏法への試みなど、聴衆と作曲家と演奏家が同じ時間と空間を通して一つの音楽について考え感じるということが、まるで化学反応がおこったかのような新しい可能性を感じました。
 今回は弦楽四重奏だけでなくチェロ独奏もあり、作曲に興味がある方も演奏に興味がある方も両方が楽しめたコンサートだったと思います☆☆
 また違うバージョンでもあったらいいな〜と感じました♪
 関わって下さった諸先生方、演奏者の皆様、ご一緒させて頂いた作曲家の皆様、お世話して下さった事務局やホールの皆様、そしてご来場頂いたお客様に感謝の気持ちでいっぱいです♪
本当にありがとうございました!

準会員:新田祥子

P.S.
今回、チラシがとってもオシャレだったので、事務局の方に「デザイナーに依頼されたのですか?」とお聞きしたら、チラシもプログラムも全て事務局の方がデザインされたとのことでした♪
チラシを見て、当日遠方からわざわざお越し下さったお客様もいらっしゃったそうです☆
素敵なデザインをありがとうございました!

2009年11月8日日曜日

人は、弱さゆえ…


ここ暫く、中世日本の仏教界での事件に基づいた、少々、陰惨なドラマに取り組んでいる。登場人物、ストーリーとも、実在のものだが、歴史の教科書に書かれているような、当り障りのない、表向きの話としてではなく、NHKの某歴史人気番組のように、その裏に隠されている、人間の本音の部分に光を当てながら、多少とも生臭いが、その分生きたドラマとして再現しようとしているのだ。
 
 掻い摘んでストーリーを紹介すると、13世紀初頭、京都(みやこ)には新興の念仏教団が勢力を伸ばそうとしていた…。当然、比叡、吉野の伝統的仏教教団からは、時の権力者、後鳥羽上皇に排斥の請願(興福寺奏状)が出されるわけだが、上皇自身は、それほど念仏教団を危険視していたわけでもなかった…。まぁ、どちらでもよかったわけである。ところが、上皇が熊野詣に出られたその留守中に、上皇の後宮に性的スキャンダルが発生し、お上は激怒されることになる…。
 そして、その怒りを引き出すことになったのが、彼の年嵩(としかさ)の女官で、承久(じょうきゅう)の変の演出者でもあった、伊賀局(いがのつぼね)。いわゆる、やっかいなオツボネサマ…。上皇とは、同伴して隠岐の島まで付いて行った間柄である…。だが、そんな彼女にも、上皇のお気に入りであった2人の若き女官、松虫と鈴虫には嫉妬心を抱いてしまうという悩みがあった…。そこで考えついたのが、旧仏教勢力の願いを叶えてやりつつ、且つ、この若き2人の女官を貶(おとし)めて、上皇の周りから追放するという筋書きであった…。
 その頃、京都では、「徒然草」の中にも記されているように、楽才のあった2人の若きスター僧侶、住蓮と安楽が、自作の声明(しょうみょう)(礼讃らいさん)による法会(ほうえ)を度々開き、あたかも今日で云うところの<コンサート>で人々を集め、人気を博していたのであった…。実は、そんな中には、こっそりと忍び込んだ、院の若き女官たちの姿も認めることがあったという…。
 松虫と鈴虫も、伊賀局に誘われて、仲間たちと鹿ケ谷の法会に紛れ込み、住蓮、安楽の声と所作にすっかり魅了されてしまう…。そして、伊賀局に唆されて、その夜、2人は御所には戻らなかったのだ…。加えて、2人とも、上皇の許可も得ぬまま、髪を下ろしてしまうことになる…。普段、何事にも優柔不断なお上も、これには激怒し、直ちに厳罰を下すこととなった。結果、住蓮、安楽は逮捕後わずか10日前後で斬首され、さらにはら羅せつ切されている…。
 実際に、院の女官との間に不義密通があったのかどうかは、定かではないが、この時の後鳥羽院の尋常でない怒りと、特命によるこのような処刑、さらには念仏教団弾圧に纏わる事実からすると、この出来事がその直接の引き金となっていることに間違いは無さそうだ…。
 男の面子と、女の嫉妬心、こんな個人的な事情から、往々にして歴史上の悲劇は繰り返されてきている。まさに、人は、弱さゆえ…、で、ある。

正会員:大谷千正
2009年11月12日(木)
●アンデパンダン展 第2夜
大谷千正/オペラ「幻の如くなる一期」より、第Ⅰ幕・第2場〈夜半、草庵にて…〉
(2009/初演/親鸞没後750年記念作品)
花月真(親鸞/バリトン)河野めぐみ(伊賀局/メゾ・ソプラノ)山崎浩美(松虫/ソプラノ)
細見涼子(鈴虫/メゾ・ソプラノ)猪村浩之(住蓮/テノール)青柳明(安楽/テノー ル)
平塚洋子(ピアノ)森和幸(指揮)

2009年11月7日土曜日

この10月から11月にかけてメチャクチャ忙しかった。演奏会があれば、リハもあり、書き直しは出てくるは、別作品の作曲ありと時間との闘いであり、今も続いている。 
 10月10日に岡山ルネスホールでヴァイオリン独奏作品<プレゴーン>の日本初演。ヴァイオリン奏者の相川麻里子さんを連れてとんぼ返りした。相川さんは15才の時からから知ってはいたが、大きく成長され好演された。有り難う。 
 10月19日には6人のリコーダー奏者のための作品<ゼピュロス I>の世界初演が東京錦糸町のトリフォニー小ホールあった。演奏はNHK趣味悠々でおなじみの吉澤実さん主宰La Strada。日本・ロシア音楽家協会というのがあって、僕はここの作曲部会長でもあるのだが、会員である吉澤さんとの共同企画で5作品の新作お披露目となった。日頃現代音楽には余り馴染んではおられないはずの奏者の皆さん頑張りました。5作品とも本番最高の演奏となりました。 
 10月23日はサントリーホールローズホールで<時の庭>ー尺八・ヴァイオリン・コントラバスによる、3つの尺八本曲を取りまく響きの交わりーの再々・・演があった。尺八/田嶋直士、ヴァイオリン/河村典子、コントラバス/白土文雄の3氏による。これは2000年にスイスで初演されたものであるが、その後あちこちで演奏されている。今回も東京のあと29日に大阪で2回公演があり、大阪に出かけた。何回も再演されるとその都度それぞれ異なる表情を見る事が出来る。 
 知人宅に泊まり翌日奈良・浄瑠璃寺へ出かけた。仏像の歴史に必ず登場するお寺である。国立博物館の正倉院特別展にも出かけたが、人人人・・・ メインの琵琶以外は全く見えず早々退散した。 
 11月3日は<ゼピュロス I>の再演である。初演の反省を元に直しを入れた。骨組みが明快になり、ブレスも楽になった事が聞き取れた。これで良かったと思う。 
 この作品を元にしてチェロアンサンブル用に翻案したのが来年現音チェロアンサンブルで初演される<ゼピュロス II>である。編作を越えての翻案。乞うご期待。 
 それからようやく11月11日現音アンデパンダンである。フルートとピアノのための作品、タイトル<風の門>。初演は今年の3月末に鎌倉で行われ、その後大阪、北九州で再演されている。今回は演奏メンバーが変更となり、フルート/千葉純子さん、ピアノ/中川俊郎さん本番が楽しみである。今展開しつつある「フリーズ」書法の諸相の試しが基本にある。それに加えてタングラムを始めとする現代奏法が取り込まれている。20世紀後半サウンドから別な世界への模索の一環である。 
 「世界を見る、見るために書く」。これは僕がずっと維持して来た姿勢である。 「見て来た結果を書く」のではなく「見るために書く」「見たくて書く」、<風の門>も同じである。 
 写真は<風の門>の最終ページです。

正会員:遠藤雅夫
2009年11月11日(水)
●アンデパンダン展 第1夜
遠藤雅夫/〈風の門〉フルートとピアノのために(2008)
千葉純子(フルート) 中川俊郎(ピアノ)

2009年11月5日木曜日

電楽リハーサル最新映像1

tt事務局員です。
今日は「電楽IV」の仕込みで浅草のアサヒ・アートスクエアに来ているので、現場からブログを更新してみたいと思います!
スタッフは10時に会場入りし、PA機材や楽器の搬入を開始。何もない空間にどんどん荷物がたまって行きます。
ステージも客席も無いので、みんなでせっせと組み上げます。独特の音場を生み出す多チャンネルスピーカーのポジションも大体決まりました。