2009年10月29日木曜日

藝大のシンセサイザー

tt事務局員です。
電楽の打ち合わせのため、東京藝術大学に行ってきました。藝大には、大型シンセサイザーが何台も鎮座する部屋があると聞いていましたが、それを目の当たりにして大感動でした!
日本で最も早く大型シンセサイザーを導入たのが藝大です。かの冨田勲さんがシンセサイザーを輸入しようとしたとき、税関で軍事機器と疑われ、数ヶ月止められたというエピソードがありますが、それくらい初期の大型シンセサイザーは到底楽器には見えません。しかし、それら初期シンセサイザーは間違いなく「楽器史上に残る名器」と言えるでしょう!
しかも藝大では、それがまだ現役で使えるというのが素晴らしいことです! 技術発展がめまぐるしい現代では、10年前の機械は部品が無くて治せない、というようなことが多々あります。古いシンセサイザーのメンテナンスも、それはそれは大変でしょうから、藝大のこの一室の意義はとても大きなものだと思います。
「古い物が良い」「ローファイなものが良い」とは必ずしも言えず、またその逆もしかりです。「電楽IV」では「ライヴエレクトロニクス過去形/未来形」と題して、世界初のライヴエレクトロニクス作品と言われるジョン・ケージの作品から、現代に生きる作曲家の世界初演作まで、同じ日に上演します。ケージの作品は「再演」というよりは「再現」といった感じで、この作品を21世紀の今演奏する面白さたるや!
詳しくはまた書きたいと思います。

2009年10月23日金曜日

現音・今昔(4)一途な思い


四半世紀前の「現音展」での話し。
 現音の演奏会に欠かせない著名な音楽評論家A氏が私に近づいてきてポツリと話しを切り出してきた・・・書かずにいられない、オレが書かずに誰が書く、これだけは書き残したい、っていう“一途な思い”の作品がこの頃ナイねェ・・・。
 その投げかけは作曲仲間にも後を引いた。いい作品は増えた。コンクールの質も上がった。しかしそれらは「間に合わせ」の作品、注文にはまった作品だというのだ。その間を外すと“間抜け”になり、時により“間違い”な音楽にも感じられてしまう。マ、マある話しかどうかず〜ッと気になっていた。
 現音の会員諸氏は、演奏会に入魂の作品を出してくる。この秋、音楽展が「器楽アトリエ」から始まり、「電楽」「アンデパンダン展」「作曲新人賞」と展開されていく。
 みなさん、一途な思いで書いた作品や作曲家と、是非出逢ってください。
坪能克裕

2009年10月21日水曜日

其の一  中川広報部長日誌  作曲家の個展 2009-中川俊郎


中川広報部長日誌はじめますと告知してから
もう10月なぜ、中川部長が日誌を随筆できなかったか、
「作曲家の個展2009-中川俊郎」がサントリーホールで初演曲もあり
それはそれは、大変な毎日だったのです。
作曲家は本当にいつもいつも締め切りを気にして生きている職業です。
中川部長も余裕で作品を書き上げた感じではありませんでした。
しかしながら、とても楽しくゲネプロされていました。
西村朗氏とのプレトークでも中川部長もおっしゃっておりましたが、
「演奏している人も聴いている人も楽しく明るくなって欲しい」という
作品に対する思いを聞いて、現代音楽に楽しい?明るい?と思いましたが、
この天才作曲家の作品の随所に見える即興性と実験的な試み、そこに
CM作品などでおなじみのキャッチーさが加わり現代音楽のコンサートでありながら
笑い声も聴こえたコンサートとなりました。

作品に関してはまた 〜つづく〜

広報部 

2009年10月19日月曜日

新しい「空間」の概念を作り出すような

器楽アトリエ「弦楽四重奏のための測度空間」の作曲者・門脇治です。
いつもの事ながら厄介な作品です。楽譜に記すこと自体が厄介でしたから、演奏していただく澁川ゆいさん、鈴木勇人さん、 栗原由樹さん、 樋口健人さんには更に厄介でしょう。おそらく作品の完成度、深さといったものと楽譜の面倒臭さは比例するものではないのでしょうが、いつものように私は音符の数がとても多くて、全編を通して休む間もない楽譜を書きました。
私の作品の題には、「星」とか「天体」とか(今回はまさに「空間」ですが)空間的な言葉を用いることが多いのですが、実際に何かそういう空間的なイメージで曲を書くと言うより、新しい「空間」の概念を作り出すような事をしています。測度=measure=小節の在り方を壊し、楽譜には小節が記されていますが、それは単に時間の経過を表している尺度(=measure)に過ぎず、4人が何となく決めたルールに従って集団即興をした結果を楽譜におこしたようなものになっています。それも特殊な奏法を含めてピチカート以外の奏法は殆ど同等の割合で演奏するという熾烈なものです。私自身、どのような結果になるか予想がつかない面もありますし、その事をも意図してもいます。実験的とも言えます。アトリエに相応しいと言えないこともないでしょう。
なんか、作品解説のようになってしまいました。でもこういう内容はプログラムとかには載せたくないのです。作曲の方法を聴きたいのは限られた人々で、作品(単に音の現象としてもいいでしょう)を聴くというのが一般的だと思うのです。
正会員:門脇治

2009年10月8日木曜日

Attirer at Aterier


はじめまして!今回の器楽アトリエで、新田祥子さんの「Central cone」を演奏するQuartet Attirerです。
タイ料理が大好きな1st.vl中澤沙央里(キャプテン)と、ミスチルをこよなく愛する2nd.vl原田百恵実(お笑い担当)、木登りが得意なvla福田道子(でもよく転びます)、水泳に命をかけるvc松井洋之(マラソンもはじめました)の4人でやっています!
最近、新田さんの「Central cone」と並行して、湯浅先生のカルテットも勉強しているのですが、まったく違う作風で、どちらの曲もとても勉強になります!
これから、新田さんの世界観を表現できるよう、頑張っていきます!
当日、素敵なホールで皆様にお会いするのを楽しみにしています♪

2009年10月5日月曜日

「電楽」でも作品を取り上げるブーレーズ来日


日本現代音楽協会が協賛している「京都賞記念ワークショップ」が下記の通り開催されます。詳細は下記の通りです。
第25回(2009) 京都賞記念ワークショップ 思想・芸術部門ワークショップ
「ブーレーズ イン 京都」
“Boulez in Kyoto”
■主催:財団法人 稲盛財団
■日時:平成21年11月12日(木) 14:00〜16:20
■場所:京都コンサートホール
■企画:長木 誠司[(専門委員会 委員)東京大学 大学院総合文化研究科 教授]
■練習統括:松下 功[東京藝術大学 演奏藝術センター 教授]
■司会:野平 一郎[(専門委員会 委員)作曲家・ピアニスト]
■プログラム:
ワークショップ「ブーレーズ:シュル・アンシーズ (1996-1998)」
作者解説:ピエール・ブーレーズ[思想・芸術部門 受賞者、IRCAM名誉所長]
聞き手:野平一郎
公開リハーサルおよび演奏: 
ピエール・ブーレーズ
ピアノ:浦壁 信二、藤原 亜美、菊地 裕介
ハープ:片岡 詩乃、篠田 恵里、信国 恵子
パーカッション:藤本 隆文、和田 光世、中山 航介
■協力:東京藝術大学
■後援:京都府、京都市、NHK
■協賛:京都市音楽芸術文化振興財団、日本アルバン・ベルク協会、日本音楽学会、日本現代音楽協会
■申込方法:
入場無料、但し事前申し込みが必要になります。稲盛財団ホームページ(
http://www.inamori-f.or.jp/)上の専用受付ページからお申込み下さい。折返し入場票を送ります。
■申込締切:11月6日(金) 定員1000名(先着順)
■問合せ先:
〒600-8411 京都市下京区烏丸通り四条下ル水銀屋町620番地 
(財)稲盛財団 京都賞事務局「ワークショップC」係
Tel. 075-344-3050 Fax. 075-353-7270 
e-mail. 
kyoto@inamori-f.or.jp

2009年10月2日金曜日

弦楽四重奏曲「阿蘇山」!?


はじめまして、日本現代音楽協会準会員の新田祥子です。
今回初めて「器楽アトリエ」に参加させて頂きます☆
先日、事務局から「器楽アトリエ」のチラシが届きました♪
写真付きで、とってもカラフルな楽しいチラシです。
会場の「sonoriumu」も写真を見せて頂くとモダンなデザインで素敵な雰囲気ですね〜♪
今回私が発表させて頂く作品「Central cone」は、家族旅行で行った九州の「阿蘇山」をイメージしています。
阿蘇山の中岳は今も火山活動をしていて、火口にはエメラルドグリーンの湯だまり(火口湖)があるのですが、それがとってもキレイなんです☆
素敵な会場で心地良い雰囲気の中、演奏して頂けるのがとっても楽しみです♪
初めての事なので緊張で一杯ですが、頑張りますのでよろしくお願い致します☆

準会員:新田祥子

現音・今昔(3)会員の願い

長いこと役員をさせていただいていると、会員諸氏の本音が聞こえてくるようになる・・・高い会費を払っているので、もっと私の作品を演奏して欲しい。それを出来るだけ多くのひとに聴いて欲しい。マスメディアも積極的に採り上げて欲しい。そのために自腹を切るのではなく、公的な資金を集めて実施して欲しい。可能なら集客(チケット販売)も出品者の負担でなく、会でお世話願いたい・・・。考えようによっては身勝手な意見かもしれない。
 昔、故・芥川先生が「作曲家が頭を下げ切符を売り歩き、その上高い会費を払わされて、何とかなんないものかね」とおっしゃったことがあった。会員諸氏が「作曲に専念できる環境」を目標値として示されたのだと思った。
 現実的には、とても実現の域からほど遠い環境にある。全てが公平とは行かない。でもそれに近い環境になるように一歩一歩進むことは大切なことだと思う。役員だけの努力でも無理だ。個や団体の努力には、現代音楽を愛するひと以外にもサービスとは別に「理解」を深めて行く、ということも必要だ。
坪能克裕