2008年8月10日日曜日

NEW COMPOSER!

日本現代音楽協会機関誌 NEW COMPOSER 2008年最新号、堂々完成!
現代音楽を扱った情報誌が殆どなくなってしまった現在、本誌はますますその貴重な情報源となり、交流の場となっています。インターネット全盛の時代にあっても実際に手に取り、記事のあちらこちらに目を通し、ゆっくりと熟読できる雑誌は必要です。今回はこれまで以上に多彩な記事がてんこ盛りの内容の濃い出来となっております。 
ぜひお読み下さい。
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▼主な内容
■人物往来~毎号、各界の著名人にその生い立ちや音楽との関わりを語って頂く人気のコーナー。

※今回は音楽評論の重鎮、遠山一行氏のお宅にお邪魔し、若い頃、パリ滞在時代に生で聴いたフルトヴェングラー、エドウィン・フィッシャー、コルトーといった伝説的な音楽家の話、影響を受けた文人、若き音楽家たちへの提言など音楽愛好家には興味津々の内容です。
■本邦初!?  スペクトル楽派に関する本格的な論文!! 
「スペクトル楽派とジュラール・グリゼーの創作」《ヴォルテクス・テンポルム》の分析を中心に 
鈴木純明
※スペクトル楽派とはジュラール・グリゼー、トリスタン・ミュライユらを中心としたグループで彼らは音響の倍音構造を科学的に分析、組織化した作曲を行ってきました。 
この音楽は20世紀後半の作曲界に大きな影響を与えてきたにもかかわらず、なぜかわが国ではこれらについての研究や論文が発表されてきませんでした。まさに日本の作曲界のなかでも画期的といえる論文の登場です。 
次号(2009年)の2回に渡っての連載です。折りしも今年のサントリー・サマー・フェスティヴァルはスペクトル楽派の特集なので予習にぜひ読んでおきましょう。譜例満載。
■明治楽語事始2~瀧村小太郎の試行 
上田真樹
※好評連載の第2回。いまや当たり前となった交響曲や協奏曲、和音、拍子といった、音楽にまつわる言葉はいつ、誰が日本語に訳したのだろうか。わが国の洋楽黎明期の楽人たちの苦労と試行錯誤を描く。著者の深い教養と知識に裏打ちされた内容は圧巻。
■名誉会員インタビュー 
湯浅譲二、川崎優
※当協会の名誉会員で日本の作曲界に多大な貢献をされたお二人にお話を伺いました。
湯浅譲二氏~生い立ち、影響を受けた音楽(湯浅さんは実はチャイコフスキー、ヴェルディもお好きでした!)、実験工房の頃、能との関わり、日米の学生の違い、真の前衛とは?
川崎優氏~長崎での被爆体験、祈りの音楽、演奏を重んじる日本と作曲を重んじる外国、若い世代への助言
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文:河内琢夫(日本現代音楽協会広報部)