2010年8月23日月曜日

ISCMポルトガル支部=Miso Music は創立25周年!



皆さんこんにちは! 創立80周年記念事業実行委員長の松尾祐孝です。
今年は、当協会の創立80周年ですが、ISCMポルトガル支部である"Miso Music" は創立25周年にあたります。
そして、日本・ポルトガル友好(修好通商条約締結)150周年でもあります。
(ちなみに種子島に難破船が漂着して鉄砲が伝来したのが1543年です。)
そこで、両国の関係者が一念発起して、相互交流を展開することになりました。
まず私=松尾の新作"A Double Fiber of Resonance"(Miso Music委嘱作品)が、
9月17日にリスボンでの現代音楽祭<MUSICA VIVA 2010>で初演されます。
その初演団体=Sond'Ar-te Electric ensemble の来日公演が、12月18日(土)19日(日)に予定されています。
この来日公演は「日本=ポルトガル交流2010実行委員会」と「洗足学園音楽大学/大学院」との共同主催で
「在日ポルトガル大使館」の協力を得て開催されます。
この公演は「創立80周年記念事業協賛公演」にもなっていますので、いずれこのHPにも情報が掲載される予定です。
前述の私の作品の他、三枝木宏行、門脇治、蒲池愛の当会員諸氏の新作とポルトガル現代作曲界の主導的人物=
Miguel Azguime氏の作品、
更にはMiso Music創立25周年をお祝いして日本とポルトガルの作曲家20人が断片を連作した
祝賀共同作品の日本初演、等の盛り沢山の内容のプログラムを計画中です。
当協会の主催公演ではありませんが、実質的にはISCMの日本支部とポルトガル支部の交流
という内容を色濃く持つ国際交流イベントになります。
Miso Musicのレジデント室内アンサンブルとして2007年に誕生したエレクトロニクスと
の協演を前提とした室内アンサンブルの初来日に、どうぞご期待ください。
先ずはその前に、私がリスボンに<Musica Viva 2010>を訪ねてきますので、
またレポートいたします。

関連サイトの情報は下記の通りです。
MUSICA VIVA 2010 のサイト
松尾作品"A Double Fiber of Resonance>初演コンサート情報のサイト


2010年8月20日金曜日

ボストン便り (3) 〜会員:深澤舞


ハーバード大学の校舎や敷地が並ぶHarvard Squareは、学生さん向けのカフェやレストラン、お店や書店などが並ぶ、のどかで賑やかなエリアです。そのHarvard Squareには3つの映画館が点在していて、映画好きな人々にとっても楽しい界隈となっています。
 ひとつは5つのスクリーンを擁するHarvard Square Theatreという映画館で、新作映画や3Dの映画などもいち早く上映されます。新しい映画館かと思っていたのですが、オープンは1926年。たしかに、壁面に描かれた絵や看板の黒文字にも、積もってきた年月を感じます 。 (ロビーで販売されているドリンクやポップコーンの巨大さには、目を見張ります!) 今年、3D作品が公開されるようになってから、これまで以上にチケット売場で行列を見かけるようになりました。
 ハーバード大学が面する閑静な坂道にあるのが、Carpenter Center、ハーバードの視覚芸術センターの建物です。その地下階がHarvard Film Archiveとなっており、日替わりで様々な映画が上映されています。監督やカメラマンの方など、その映画の制作に関わったゲストの登場も多く、昨年の吉田喜重監督の特集上映では、吉田監督が、上映作品で主演されていた奥様の岡田茉莉子さんと来米されました。緑と打ち放しのコンクリートの共存が美しいこの建物は、コルビジェの北米唯一の、そして最晩年の設計です。
 そしてもうひとつが、今年120歳になるThe Brattle Theatreという味のある単館映画館。村上春樹さんのエッセイにも登場しているそうです。独自の視点から組まれる特集上映のほか、イベント、オークションなど様々なイベントが行われています。春先に黒澤明監督の生誕100年を記念しての特集上映がありましたが、数年前にはジブリの回顧上映もあったそうです。こちらはNPOとして運営されていて、寄附やメンバーの会費も大切な運営資金となっており、運営委員にはデイヴィット・リンチ監督も名を連ねるユニークな映画館です。
 設営、上映内容や企画も様々な映画館たちが、それぞれに街や人と密着しながら共存し、映画界を深く支えていく力強さを感じます。(Brattle Theatre独特の古く懐かしい空間、シネスイッチ銀座や渋谷シネマライズなど、日本でよく足を運んだ映画館が恋しくなる雰囲気です) 先日、Brattle Theatreからのメールで、上映のない期間、スペースを貸し出しているとのお知らせがありました。ここのスクリーンの手前には、ステージのようなスペースがあるのです。音響は難しそうですが、こうしたスペースでの音楽の企画も面白そうだなと、密かに想像をめぐらせています。
(2010.8.14.)

左上:Harvard Square Theatre  
http://cinematreasures.org/theater/484/
右上:Carpenter Center/Harvard Film Archive 
http://hcl.harvard.edu/hfa/
右下:The Brattle Theatre  
http://www.brattlefilm.org/
左下:ハーバード大学構内。休日はお散歩や観光の方たちで賑わっています。

2010年8月13日金曜日

被爆ピアノが奏でる『月光』コンサート〜準会員:新田祥子


こんにちは♪ 暑い日が続きますが、皆様いかがおすごしでしょうか?☆彡 昨年10月に、「器楽アトリエ」でお世話になった準会員の新田祥子です☆
 NHK国際ラジオ放送のニュース番組で、先月、7月17日の広島での「被爆ピアノが奏でる『月光』コンサート」の一部が紹介され、私の曲も一瞬だけ紹介して頂いたのでここに書かせて頂きますね☆
 ラジオでは、8月10日のAM、NHKラジオ第二放送で14:15前後(番組は14時〜)に英語で放送されました☆
 そのあと、インターネットで8月10日のPlaying the Atomic Bomb Piano to the Worldという題名で仲道祐子さんのピアノ演奏の写真の横をクリックすると、1週間ほど放送がきけるそうです☆彡(英語以外でも18カ国語で放送されます。)良かったら、チェックしてみてくださいね(o^o^o)
▼NHK WORLD RADIO JAPNhttp://www.nhk.or.jp/nhkworld/

○「被爆ピアノが奏でる『月光』コンサート」について
 「被爆ピアノが奏でる『月光』コンサート」は、被爆建物である旧日本銀行広島支店で被爆ピアノによるコンサートおよび被爆体験記の朗読を行う事により、平和の大切さを再認識するきっかけ作りを図るものとして企画されました。
 もともと、フリーアナウンサーの桂幾子さんとボランティアの方々が5年前から広島の国立原爆死没者追悼記念館で被爆体験記の朗読会をなさっていました。今年は被爆65年目ということで、桂幾子さんと(財)広島市文化財団の一つである安芸区民文化センターの方が協力して、新たに今回のコンサートを開催する運びとなったようです(なお、この朗読事業は、修学旅行生の平和学習プログラムの一つとしても行われており、また広島県内の小、中、高校にも行っておられます)。
 コンサートは、被爆地である広島と長崎の声楽家や演奏家による演奏、ゲストにピアニストの仲道祐子さんをお迎えし、私、新田祥子の委嘱作品「Water Flux」、桂幾子さんによる被爆体験記の朗読という形で構成されております。
 被爆ピアノは、ピアノ調律師として数台の被爆ピアノを所有されている矢川光則さんからお借りしております。(矢川さんは各地で「被爆ピアノ平和コンサート」を展開されております。)
出演者:仲道祐子(ピアノ)、福地友子(ソプラノ)、松岡由紀子(ソプラノ)、森岡美和子(ピアノ)、桂幾子(司会・朗読)、新田祥子(作曲)

○曲について
 今回、被爆ピアノの演奏ということで曲を委嘱された時、改めて自分自身が、戦争により大きな打撃を受けた地、広島の出身であることを認識致しました。今、広島はかつての廃墟から、美しく活気のある街、国際都市として生まれ変わっています。現代に生きる私が当時のことを想像すると、今がどんなに幸せかを感じずにはいられません。平和の有り難さ、大切さ、そして平和への願いをこめて、曲を作らせて頂きました。
 なお、タイトルの「Water Flux」は、水の流れという意味です。被爆直後、人々が求めたのは水でした。水は人間を始め、生物にとって必要不可欠であり、また“水で清める”など、浄化の意味もあります。私は、空気、時間、人と自然との共存、そして人の考え方も、水のように留まらず変化していくと思います。
(編成:ピアノソロ、演奏:仲道祐子さん、楽器:アップライトの被爆ピアノ)

○コンサートを終えて
 聞きにきて下さったお客様は、小学生からご年配の方まで様々な年代の方々でしたが、コンサートが終わった後の皆さんの表情がとても清々しく、やわらかい表情だったこと、またコンサート後の被爆ピアノ体験コーナーでは、それぞれ思い思いにピアノを弾かれていて楽しそうな様子でした。
 私は、音楽が人に与える影響がとても大きいものなんだなあということを改めて感じ、音楽に関わらせて頂いている事にとても喜びを感じました。