7月4日は独立記念日の祝日で、毎年、街の中心を通るチャールズ川沿いで大きなイベントが開かれます。クライマックスは、日暮れと共に始まるボストン・ポップス・オーケストラの野外コンサートと、それに続く打ち上げ花火。「1812年序曲」の最後の大砲の音に、打ち上げ花火の音が加わり、今年も大歓声に包まれました。
このチャールズ川が流れ込む海に面して、ICA Boston (The Institute of Contemporary Art/Boston)が建っています。海に広く面した外のテラスがカフェになっており、前回行ったときには、ガラスの建築と海とを背景に、トリオが演奏している最中でした。このカフェはアメリカで人気の高いシェフがプロデュースしているそうで、 企画展のない時にも、このカフェや演奏を目的にICAを訪れる人も多いそうです。
ボストンに来る前は2年ほどロンドンにいたのですが、こちらは緑豊かな街の中心部にICAがありました。ピカソや同年代の画家、詩人たちが「半ばクラブのような形で」発足させたICA Londonに、今は劇場、フィルムセンター、ギャラリー、演奏会や講演会に使えるスペースなどが詰まり、イギリスらしい重厚な建物から様々な「現代」が発信されています。アートブックストアやバーのコーナーもあり、「クラブナイト」が催される週末は夜中まで開いているのです。ギャラリーとバーに続くスペースで現代音楽のコンサートが行われていたのですが、扉は演奏中も開かれたまま。その音世界に誘われ、ギャラリーで写真展を見ていた人やバーにいた人が(グラスをそのまま片手に)覗きにきて、思い思いに腰かけ、初演の場や作曲者との会話を楽しんでいました。自然に囲まれたひと続きの空間で、多様な「現代」の 形を自由に行き来する光景、そして、おいしいお茶やお酒を飲みに、公演を観に、写真集を買いに・・と出かけた先々に、現代音楽への扉のある光景が、これからの豊かな可能性を予感させてくれます。
▼ICA Bostonhttp://www.icaboston.org/
▼ICA Londonhttp://www.ica.org.uk/
ボストンも夏らしいお天気が続いています。昨年は10月に初雪だったのですが、数ヶ月後にまた雪になるとは思えないような、満天の陽射しです。
(2010.7.19.)
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