2010年12月9日木曜日

“競楽IX”本選出場者紹介〜中田 麦


現代音楽演奏コンクール“競楽IX”ファイナリスト紹介
中田 麦(マリンバ)Baku NAKATA

 私は、子供の頃からマリンバの現代作品に触れる機会には恵まれていましたが、それらの作品を全然良いとは思いませんでした。こんな曲を弾いていったい何の意味があるんだろう、と疑問に感じていました。まったく面白くありませんでした。
 ところが、15歳の時に武満徹の映画音楽を聴いて強い衝撃を受けました。得体の知れない漆黒の闇から音が流れ出てくるようで、ぞっとしました。「現代曲ってなんか凄い」と思ったのです。ちょうど武満徹全集の刊行が始まった折で、それからは親が買った全集を貪るように聴きました。これがきっかけになって、他の現代作曲家の作品にも興味を持ち、どんどんその世界に引き込まれていきました。
 一柳慧《源流》は、まさにその頃に出会った作品で、私にとってかけがいのない音楽のひとつです。この作品には、人間の根源的なものに通ずる何かがある、と思わずにはいられません。本選会で演奏できることを何よりも嬉しく思います。

▼プロフィール
1986年奈良生まれ。6歳より和太鼓、9歳よりマリンバを始める。京都市立音楽高等学校(現・京都堀川音楽高等学校)を経て、京都市立芸術大学入学。第9回KOBE国際学生音楽コンクール打楽器部門最優秀賞受賞。第18回京都芸術祭音楽部門京都市長賞受賞。ソロやアンサンブルを中心に活動。作曲家からの委託による新作初演なども積極的に行う。大西由利子、種谷睦子、伊藤朱美子、宅間斉、山本毅の各氏に師事。

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