2009年10月19日月曜日

新しい「空間」の概念を作り出すような

器楽アトリエ「弦楽四重奏のための測度空間」の作曲者・門脇治です。
いつもの事ながら厄介な作品です。楽譜に記すこと自体が厄介でしたから、演奏していただく澁川ゆいさん、鈴木勇人さん、 栗原由樹さん、 樋口健人さんには更に厄介でしょう。おそらく作品の完成度、深さといったものと楽譜の面倒臭さは比例するものではないのでしょうが、いつものように私は音符の数がとても多くて、全編を通して休む間もない楽譜を書きました。
私の作品の題には、「星」とか「天体」とか(今回はまさに「空間」ですが)空間的な言葉を用いることが多いのですが、実際に何かそういう空間的なイメージで曲を書くと言うより、新しい「空間」の概念を作り出すような事をしています。測度=measure=小節の在り方を壊し、楽譜には小節が記されていますが、それは単に時間の経過を表している尺度(=measure)に過ぎず、4人が何となく決めたルールに従って集団即興をした結果を楽譜におこしたようなものになっています。それも特殊な奏法を含めてピチカート以外の奏法は殆ど同等の割合で演奏するという熾烈なものです。私自身、どのような結果になるか予想がつかない面もありますし、その事をも意図してもいます。実験的とも言えます。アトリエに相応しいと言えないこともないでしょう。
なんか、作品解説のようになってしまいました。でもこういう内容はプログラムとかには載せたくないのです。作曲の方法を聴きたいのは限られた人々で、作品(単に音の現象としてもいいでしょう)を聴くというのが一般的だと思うのです。
正会員:門脇治

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