2009年9月25日金曜日

現音・今昔(1)「悪の温床」、その後


40年近く前の話。
 現音主催の作品展が開催された。それを聴きにきていた学生が、あまりのくだらなさ、レベルの低さに驚き、アンケート用紙に実名で「こんな演奏会をしていると、そのうちに“悪の温床”になってしまうだろう」と記した。
 それを読んだ右派・左派の幹部は「本当だ!」と共感した。右・左は、仮に伝統的な書法の作曲家と、国際的に活躍していた作曲家、の人びととしておく。誰のどの作品だったかは不明だが、要は作曲家の人格攻撃ではなく、作品や団体に関しての舌鋒鋭い意見交換は大いにあって然るべきだ、というのが彼のポリシーだった。
 その学生は、その後音楽大学を卒業し、現音に入会することになった。ぬくぬくと悪に育ったのかどうかは分からないが、しかし耳が痛い話しでも、作品や団体に対して建設的な意見を堂々と言ってくる後輩を、現音は苦々しくも好意をもって迎えるようになった。
坪能克裕

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