2009年11月11日水曜日

11日遅れのハロウィン―「死神」、オペラシティに来襲す!


「俺と御前の前世の誼み
  ひとつ援けて遣らうぢやないか…」(死神)
現音会員の三枝木です。
今回の「アンデパンダン展」第一夜にて、「死神」と題する作品を発表します。
題名からもお察しの通り、今回の作品は古典落語の大ネタ中の大ネタ、三遊亭円朝が外国オペラを翻案して作ったといわれるあの名作に素材を求めています。高座では大抵30分前後かかる内容ですが、これを15分程度に圧縮、台本も新たに書き下ろしました。
もともとがオペラであり、しかも国内ですでに某大家の名作が存在する題材なので、無謀と言えば無謀な挑戦ですが、ピアノ伴奏の独唱曲という制約の中で、聴き手に「噺を聴く楽しさ」が伝えられれば、と願っています。
聴きどころは、まずなんと言っても、一人何役もこなさなければならない歌手の「演技」でしょうか。主人公となる男と死神のほか、老人からうら若き少女(!)まで登場する脇役を作品中では演じ分けなければなりません。落語の世界では当たり前の技ですが、“現音”のステージでは、「はてさて、どうなることだろう」(台本より)… 松平敬さんの快演をお楽しみいただけると思います。
また、ピアノは寒々しく舞い散る枯葉の道から、死神の爛々と光る両眼、洞窟の中に煌々と揺らぎ輝く蝋燭などの視覚的表現、死という抗えない現実を前にあたふたと動き回る人間たちのスケルツォなど、物語の土台骨を支えるため縦横無尽に動き回ります。大須賀かおりさんのピアノは、この無茶な(譜面はかなり無茶している事を告白しておきます…)要求にも充分応えてくれることでしょう。
さて、台本の中にひとつの仕掛け。男が死神から伝授される「呪文」です。本家「死神」では落語家が高座でお客さんの反応を見ながらアドリブで呪文を唱えるのが“慣例”ですが、本作も楽譜上では「適宜変更してよい」としてあります(ガイドラインは一応あるにはある)。今回の呪文はどんな言葉が飛び出すやら… これは蓋を開けてみないことにはわかりません。
全篇「死」を扱う、ともすると重苦しい内容となりがちですが、そうしたテーマ性とともに、寄席で気軽に噺を聴く感覚でお楽しみいただけると幸いです。
※添付画像は「赤ずきん」以来久々の作品仮想ポスターです。今回は3DCGで作ってみました。

正会員:三枝木宏行
2009年11月11日(水)
●アンデパンダン展 第1夜
三枝木宏行/「死神」~古典落語に基づくモノドラマ(2009/初演)
大須賀かおり(ピアノ) 松平敬(バリトン)

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