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2011年7月8日金曜日


兼重稔宏 Toshihiro Kaneshige


現音事務局———7月12日にカワイで開催するチャリティコンサートで、バッハやクルタークと共に日本の現代作品を演奏されるそうですね。今回の企画趣旨やプログラムについてお話頂けますか?

兼重稔宏:今回の企画は一昨年、東京芸大の同級生の浜野与志男と二人で始めたもので今回は第3回目です。「現代の作曲家の作品を演奏すること」と「収益金を2008年に私が滞在したバングラデシュのNGO、PAPRIに収益金を寄附すること」を二本柱にして様々な表現の形を模索しています。今年はいわゆる「ピアノリサイタル」という形式を選びましたが、昨年は美術を専門とする方々と共に表現することができてとても愉しかったです。
プログラミングについてですが、まず、楽譜屋さんで多くの作曲家のバッハをモティーフとして書かれた作品が収められている楽譜(PIANO 2000)を見つけたところが始まりでした。「面白そうだなぁ」と思いその場で購入し、家でほとんどすべての曲を弾いてみたのですが、その中でも特に南先生と金子先生の作品が心に響きました。
その2曲を決めた後、この作品と一緒に演奏したいバッハの作品を考えているうちに自然とこの2曲の前奏曲とフーガ(平均律クラヴィーア曲集、一巻第22番と二巻第4番)が浮かび上がってきました。そして最後に以前から弾きたいと思っていた湯浅先生の作品を今回こそ弾こう!と。要するに今弾きたい曲を並べてみたわけです(笑)。いろいろな意見があると思いますが、今の私にとっては無意識的に決められたプログラムの方が、いろいろと考えて、ある意味観念的に決めたプログラムよりも流れが良い場合が多かったり、作品を通して今の自分自身について知ることができ、よりよい演奏に繋がるような気がします。

———兼重さんは、2010年に日本現代音楽協会が結成した「JSCMユース・チェンバーオーケストラ」のメンバーでもあり、旗揚げ公演となった「室内オーケストラの新地平」で南、湯浅両会員の作品を演奏して頂きましたが、その時の印象は如何でしたか?

まず私の楽器がピアノということもあり、協奏曲以外ではオーケストラのなかに入って演奏した経験がなく、指揮者の先生方や共演者の皆さんにご迷惑をおかけしたなぁという思い出があります(苦笑)。そして現代音楽の中心で活躍なさっている方々と直接お話をし、一緒に演奏することができてたことはとても勉強になりました。
お二人の作品そのものについての印象は、言葉では言い表せないものが一番大きいと思います。ですが、とにかく両作品ともにとても好きな作品です。
本番の演奏中に感じたことを振り返ってお話させて頂くと、南先生の作品は一番自由な気持ちで演奏できたこと、湯浅先生の作品はなんだかこう「血が騒ぐ」感覚があったことをよく覚えています。とくに終曲は。

———今回の企画は、ピアノを学んでいる方やクラシック愛好家の方に、現代の新しい作品を聴いてもらえる良い機会だと思うのですが、なかなか聴衆に届きにくいと言われる現代の作品を演奏する際に、心がけていることはありますか?

うーん、これはどの時代の作品を演奏するにあたっても言えることだと思いますが、それぞれ作品の持つ固有のスタイルや語り口や美感、音の裏にある「何か」を読み取り正確に伝えたいと考えています。そしてそういったプロセスを経たあとは、なんというか、音から自由になって色々なものを開放することができたらいいな、と感じています。最終的には音に帰結するわけですし、うまく言葉にはしにくいのですが・・・。
まだまだ経験が浅いのでなんとも言えませんが、まず演奏者が「現代の作品」という先入観を取り払って真っ白な心で作品に触れた方が、最終的にはお客さんにも作品に内包された世界が伝わるのではないのかなぁと思っています。

———なるほど「先入観を取り払って真っ白な心で」ですね! それでは最後に、今後の活動予定や、実現させたいと思っている企画等があれば教えて頂けますか?

今後は伴奏や室内楽のリサイタルがいくつかあります。自主企画としてはまた来年このシリーズを実現させたいと考えています。
また、私自身が社会学を学んでいるということもあり、なんらかの形で社会にアプローチするような演奏会は一生続けていきたいと思っています。
あと、夢のような話ですが将来「フォルテピアノでモーツァルトを弾いて、そのあとにモダンのピアノで湯浅先生の作品、バッハをチェンバロで弾いて最後にバルトークを1900年くらいに作られたピアノで演奏する。」みたいな演奏会ができたらどんなに楽しいだろう!と思います・・・。が、とにかく今はそんな夢が実現できるようにしっかり勉強したいと思います。

———とても楽しみです! 本日はありがとうございました!

兼重稔宏 Toshihiro Kaneshige(ピアノ)
三重県津市出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学在学中。ピアノを上野真、渡辺健二、エヴァ・ポヴォツカ、コンスタンティン・シチェルバコフの各氏に、室内楽を松原勝也、松本和将の各氏に師事。P.バドゥラ=スコダ、F.ビディーニ、J.デームスによるピアノのマスタークラス、A.チェッカート氏による指揮法のマスタークラスを受講。また、社会学を岡田徹氏に師事。エンガディン音楽祭(2009年,スイス)や日本現代音楽協会80周年記念事業(2010,年東京)などの音楽祭に出演。また、浜野与志男(pf)と共にバングラデシュ公認NGO、PAPRIに寄附する事を目的としたチャリティーコンサートを連続開催(2009~2011年,東京)。これまでにポーランド国立クラクフ室内管弦楽団、セントラル愛知交響楽団と協演。また、室内楽分野においても新日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーとの共演(2010~2011年)を始めとして多数の演奏会に出演している。

第3回 グローバル・パートナーショップ・コンサート
J.S.バッハ/幻想曲とフーガ イ短調 BWV904
J.S.バッハ=S.ラフマニノフ
/組曲(ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006による編曲作品)
J.S.バッハ=F.ブゾーニ
/シャコンヌ
演奏:浜野与志男
J.S.バッハ
/平均律クラヴィーア曲集第I巻 より 前奏曲とフーガ 第22番変ロ短調、第24番ロ短調
湯浅 譲二
/Melodies for Piano
南 聡
/ジグザグバッハ
金子 仁美
/フーガの方法』
演奏:兼重稔宏
G.クルターク
/怒りのコラール、鐘 ~スタラヴィンスキーの追憶に~、キリエ ほか
J.S.バッハ=G.クルターク/
教理問答書コラール『深き苦しみの淵』より、我汝を呼ぶ ほか
一台四手連弾

▼現在ヨーロッパ渡航中の兼重さんより写真付きメールを頂きました!
ドイツのトーマス教会
バングラデシュにて

到着日に撮影したライプツィヒのトーマス教会です。レッスンを受けるという名目でバッハ音楽祭とビールを堪能中です(笑)。これからベルリン、パリ、そしてヘルフォルトというドイツの北西に位置する小さな街にいく予定です。写真が趣味でいつもモノクロ写真ばかり撮っています…。ちなみにもう一枚は演奏会の収益金を寄附させて頂いているバングラデシュのNGO、PAPRIの近くで2008年に撮影したものです(兼重)。

2011年2月23日水曜日

世界に開く窓〜ピアニスト・中村和枝さんよりメッセージ

 こんにちは、ピアノの中村和枝です。今週末2月26日(土)に開催される「世界に開く窓~ISCM“世界音楽の日々”中心に~西欧特集」にて、H.Lachenmannの《Ein Kinderspiel》を演奏いたします。

 “子供の遊び”と言いながらもその内容は大変深く、高度な知性とキュートな童心、ラッヘンマンの人間としての魅力に溢れた素晴らしい曲です。特殊奏法のアイデアもとても楽しくて音楽的! 練習していて、子供の頃に兄の練習しているピアノの下に潜り込んでミュートして遊んで(邪魔して)いた事が突然フラッシュバックしたりして。私もすっかり童心に返り楽しく弾いています。(かなり体力は必要なのですが・・・)

 私にとって現音・音楽展は、現代音楽のピアニストとして初めてプロの舞台に立たせていただいた場所でもあり、その後も多くの曲を弾かせていただき貴重な体験を積ませていただいた、言わば“ホーム”のような存在です。会員の作曲家の方々との交流も多く、今年初めには松平頼曉先生のピアノ作品『24のエッセーズ』のCDリリース(レコード芸術3月号にて「特選盤」に選ばれました!)、また来る3月28日(月)杉並公会堂小ホールで行う claviarea(作曲家・山本裕之氏との現代音楽ユニット)公演では、『24のエッセーズ』よりの抜粋と、湯浅譲二先生、かつて「現音作曲新人賞」に入選した田中吉史氏、そして山本裕之氏の作品によるリサイタルを行います。また9月には同じく会員の梶俊男氏作曲のオペラにピアノトリオで参加予定です。

 作曲家の方々と共に未来の音楽を作っていくのは、本当にエキサイティングでヴィヴィッドな体験です。そんな現場を目撃に!皆様のご来場をお待ちしております。


写真は今年の新年会の福引で頂いた「福士則夫理事賞」のシャブリ。ワイン通なら良く知っている有名なドメーヌ(作り手)の物なのだそうです。流石は福士先生!有難うございました。今年は春から幸先良いです。

▼中村和枝オフィシャルブログ

2011年2月7日月曜日

「世界に開く窓」は世界一周して西欧到達。南極征服も!?

《協創 新しい音楽のカタチ》現音・特別音楽展2010
世界に開く窓~ISCM“世界音楽の日々”を中心に~西欧特集

2011年2月26日[土]15:30開場/16:00開演
日本大学藝術学部音楽小ホール(江古田キャンパス東棟6階)

▼学校までのアクセスhttp://www.art.nihon-u.ac.jp/access/
▼学内案内
http://www.art.nihon-u.ac.jp/about/campus/map.html



これまでアジア、東欧、中南米、北欧、北米と世界の作曲家を巡ってきたこのシリーズの最終地は西欧。激戦区とも言えるこの地からドイツ、イタリア、フランス、オランダの4人の作曲家を取り上げます。(制作:国際部・松平頼曉・福井とも子)

●水野みか子(日本)/七ツ寺(作曲2009年)
ラジオフォニック作品
→〈ISCM世界音楽の日々2010オーストラリア大会〉入選曲です。

●ヘルムート・ラッヘンマン(ドイツ)/子供の遊び(作曲1980年)
中村和枝(ピアノ)
→「子供の遊び」と言いながら、その後の創作活動へと繋がるアイデアに満ちた重要な作品です。

●フランチェスコ・フィリデイ(イタリア)/ガリアルダ(作曲2001-2006年)
多井智紀(チェロ)
→話題沸騰中の若手作曲家フィリデイ。彼の篤い信頼を得て多井智紀が熱演いたします。

●トリスタン・ミュライユ(フランス)/南極征服(作曲1982年)
大矢素子(オンド・マルトノ)
→フランスで研磨を積み、帰国したばかりの大矢素子によるオンド・マルトノ演奏です。

●ルイ・アンドリーセン(オランダ)/ワーカーズ・ユニオン(作曲1975年)
木ノ脇道元(フルート)西川智也(クラリネット)江川良子(テナーサクソフォン)
佐藤洋嗣(エレキベース)川𥔎翔子(ピアノ)
→アグレッシヴなサウンドに心奪われるこの曲は、楽器も音も不確定。木ノ脇率いる一夜限りの演奏家ユニオン、圧巻です!

◎協力:日本大学芸術学部




全自由席1,000円(完全予約制/前売りのみ、当日券販売予定はありません

★チケットのお求めは日本現代音楽協会まで

電話:03-3446-3506(平日10:00~17:00)

メールでお申し込みの場合は 80th@jscm.net 宛に下記の項目をお書き添えの上お送り下さい。折り返し料金の振込先をお知らせし、振込が確認された時点でチケットをお送りします。

1. 氏名
2. 枚数
3. 送付方法 普通郵便は送料無料/簡易書類郵送は300円



2011年1月13日木曜日

百花繚乱の一夜、「フュージョン・フェスタII」開催迫る!

日本現代音楽協会事務局長/公演プロデューサー
佐藤昌弘



 現音事務局長の佐藤昌弘です。遅ればせながら、本年もよろしくお願い申し上げます。

 さて、『現音・特別音楽展2010〜協創 新しい音楽のカタチ』第7夜「フュージョン・フェスタII」が、来る121日(金)の18時より、洗足学園前田ホール(溝の口)にて開催されます。

 「フュージョン」と聞いて、カシオペアやTスクエアなどの音楽を思い浮かべるアナタはもう古い!? このコンサートにおける「フュージョン」とは、性格の異なるさまざまな音楽要素が、ジャンルを越境してぶつかりあい、せめぎあいながらも異種交配を成して、ついには一つの新しい音楽のカタチを誕生させるというスリリングなステージを意味するのです。

 当夜ご来場頂ければ、コンテンポラリー・チンドン・バンド「チャンチキトルネエド」の練り歩きパフォーマンスがオープニングとファイナルを飾り、琵琶、オーストラリアの民族楽器、ウクレレ、ローランド社の最先端のデジタル楽器V-DrumsV-Pianoなど多種多彩の楽器も登場して、およそ通常の現代音楽の演奏会にはみられない光景に目を見張らせられることでしょう。

 一方でスタンタードな楽器も登場するのですが、ただし通常のたたずまいとはならず、ヴァイオリンが邦楽器と、ソプラノがコントラバスと、フルートとチェロがデジタルピアノと、クラリネットとピアノがエレクトロニクスと、フルートが「天然脳」と称するパフォーマーと遭遇し、一期一会のコラボレーションを展開します。

 日本現代音楽協会会員作曲家の門脇 治、田丸彩和子、河内琢夫、高嶋みどり、佐藤昌弘、田中範康、松尾祐孝、ロクリアン正岡、森田泰之進がお届けする、ナンデモアリの百花繚乱プログラムに乞うご期待!!

2011年1月7日金曜日

謹賀新年 年明け最初はフュージョン!!

協創 新しい音楽のカタチ》 現音・特別音楽展2010
「フュージョン・フェスタII」

2011年1月21日[金]17:30開場/18:00開演
洗足学園前田ホール
http://www.senzoku.ac.jp/music/headmenu/access.html

▼オープニング・パフォーマンス
出演:チャンチキトルネエド(本田祐也作品)

門脇 治/「ウク・レレレのおじさん」(2010/初演)
門脇治(竹箒) 渡部知久(ウクレレ)

田丸彩和子/空、大地、そして風~ヴァイオリン、尺八、十七絃箏のための(2010/初演)
水野佐知香(ヴァイオリン) 山口賢治(尺八) 吉原佐知子(十七絃箏)

河内琢夫/ソナタ・パシフィカ/マントラプンクトⅠ-ディジュリドゥとチェロのための(2010/初演)
哲J(ディジュリドゥ) 井上雅代(チェロ)

高嶋みどり/デュエット(2010/初演)
太田真紀(ソプラノ) 溝入敬三(コントラバス)

佐藤昌弘/TRIPLEX Ⅱ(2010/初演)
菅井春恵(フルート) 海野幹雄(チェロ) 佐藤昌弘(V-piano)

田中範康/クラリネット、ピアノ& エレクトロニクスのための<Sparkling in the Space>(2010/初演)
竹内雅一(クラリネット) 山田敏裕(ピアノ) 岡野憲右(PA) 吉川敦(Max/MSP)

松尾祐孝/コントラストリングス第2番(2008)
水野佐知香(ヴァイオリン) 田原順子(琵琶)

ロクリアン正岡/フルート独奏組曲演奏「風が成るもの、起すこと・II」×天然脳独創思考パフォーマンス(2009/初演)
永井由比(フルート) ロクリアン正岡(天然脳)

森田泰之進/ダマルサンガゴロゴロ(2010/初演)
チャンチキトルネエド:
鈴木広志(サクソフォン)大口俊輔(アコーディオン)齋藤寛(ピッコロ)井上梨江(クラリネット)
江川良子(サクソフォン)東涼太(サクソフォン)佐藤秀徳(トランペット)酒井陽介(トロンボーン)
木村仁哉(テューバ)相川瞳(打楽器)上原なな江(打楽器)小林武文(打楽器)
関聡(V-drums) 木村英一(ダンス)

◎助成:財団法人ローランド芸術文化振興財団


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★チケットのお求めは日本現代音楽協会まで

電話:03-3446-3506(平日10:00~17:00)

メールでお申し込みの場合は 80th@jscm.net 宛に下記の項目をお書き添えの上お送り下さい。折り返し料金の振込先をお知らせし、振込が確認された時点でチケットをお送りします。

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2010年12月16日木曜日

上田希さんのリサイタル『毒っとクラリネット!』公募作品入選者 田口 和行氏から

現音ブログをご覧の皆様、こんにちは。
上田希さんのリサイタル『毒っとクラリネット!』にて、独奏クラリネットのための《-ade》を初演して頂きます、田口和行と申します。

この曲のタイトルは、オレンジエードやレモネードと言う際の「-ade」で、具体的に描写している訳ではないものの、ミキサーに入れられた果物がジュースになる様子をイメージしながら作曲致しました。
期せずして、リサイタルのタイトルに「毒」という言葉が含まれましたので、良い意味で、物騒な関連性が生まれました。

実際、リハーサルに立ち会いましたら、かなりエグいジュースが出来上がりそうで、私も前向きに驚いております。
これは、上田さんの卓越した演奏技術と楽曲解釈によって曲が化けてくれたおかげです。私自身、本番での演奏を、かなり楽しみにしております。

実は、シンセやサンプラーで鳴らす場合は別として、クラリネットの楽譜が音になるのは、ソロやアンサンブルなど如何なる編成においても、今回が初めての経験となります。
その貴重な機会を『毒っとクラリネット!』で頂けて、リサイタルに関わる皆様に感謝しております。

最後に。
リハーサルは京都で行われましたが、私は嵯峨の某所に宿泊致しました。写真は、その最寄り駅である「嵯峨嵐山駅」です。
最近新しくなったとのことですが、嵯峨におけるこの駅の在り方を含め、沢山の示唆に富む場所で素敵な時間を過ごさせて頂きました。
リハへ立ち会うにあたってお世話になった皆様にも、感謝致します。

演奏が終わりましたら、このジュースの舌触りや後味を、是非とも、教えて頂きたく存じます。
それでは、会場にて、お会い致しましょう。

田口 和行
2010年12月20日[月]
■18:30開場/19:00開演
■ムラマツリサイタルホール新大阪



(1) 小泉 香/時の鳥(2010/初演) 公募作品


(2) 高橋宏治/Before sleeping.... for clarinet solo(2010/初演) 公募作品

(3) 田口和行/-ade for clarinet solo(2010/初演) 公募作品

(4) 青木孝義/Contrasts I ― Clarinet Duo for Clarinet Players ―(2010/初演)

(5) 藤井喬梓/Lichthof für zwei Klarinetten(1989)

(6) 南川弥生/沈黙の鳥たち pour Clarinet et Saxophone(2010/初演)

(7) 湯浅譲二/Clarinet Solitude for clarinet(1980)

(8) サルバトーレ・シャリーノ/Let me die before I wake per clarinetto in si bemolle(1982)

演奏終了後、日本現代音楽協会主催「アンデパンダン展2011」招待作品を選曲し、発表します。 上田希(1)-(8)・古賀喜比古(4)(5)(クラリネット) 平田英治(6)(サクソフォン)

●協賛:ビュッフェ・クランポン株式会社 ムラマツリサイタルホール新大阪

★チケットのお求めは日本現代音楽協会まで

電話:03-3446-3506(平日10:00~17:00)

◎メールでお申し込みの場合は clarinet@jscm.net 宛に
下記の項目をお書き添えの上お送り下さい。
折り返し料金の振込先をお知らせし、
振込が確認された時点でチケットをお送りします。
1. 氏名
2. 券種 一般前売り2,800円/一般学生1,000円
3. 枚数
4. 送付方法 普通郵便は送料無料/簡易書類郵送は300円
問合せ:日本現代音楽協会 Tel: 03-3446-3506



2010年12月12日日曜日

協賛公演=ISCM海外支部との国際交流

本ブログで11月25日付で紹介していただいたリスボン<日本=ポルトガル交流2010演奏会>(創立80周年記念事業協賛公演)の開催が、いよいよ間近に迫ってきました。来日する Sond'Ar-te Elaentric Ensemble とMiso Music Portugalのスタッフは、12月4日リスボン近郊の保養地=カスカイス
で開催されたほぼ同じプログラムによる日本ツアー直前の壮行公演も無事に終えて、準備万端で訪日を楽しみしているということです。情報詳細は、11月25日付の頁をご参照ください。但し19日のメインコンサートについては曲順の変更があるので、改めてお知らせいたします。現音会員の皆様、非常にしっかりした団体組織運営をされているISCMポルトガル支部=Miso Music Portugal の中心人物であるMiguel & Paula Azguime 夫妻にも会うことのできる、国際交流の絶好の機会ですので、是非会場に足をお運びください。勿論、このブログを愛読なさっていただいている会員外の皆様も大歓迎です。では、18日・19日に会場でお目にかかりましょう。

<日本=ポルトガル交流2010>実行委員会




Miguel Azguimeより現音の庭へメッセージ
http://jscm1930.blogspot.com/2010/12/iscm-miguel-azguime.html
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日本=ポルトガル交流2010演奏会
〜Sond’Ar-te Electric Ensemble 特別来日公演〜
(日本=ポルトガル修好150周年記念文化交流)
主催:日本=ポルトガル交流2010実行委員会 
   洗足学園音楽大学 / 大学院
後援:在日ポルトガル大使館
協賛:日本現代音楽協会(創立80周年記念事業協賛公演)
助成:財団法人 ローランド芸術文化振興財団 カモンイス院

<第1日 = ワークショップ> 2010年12月18日(土) 17:00開演


<第2日 = メインコンサート>
2010年12月19日(日) 17:00開演
洗足学園音楽大学 ビッグマウス
(溝の口キャンパス・新校舎ブラックホール1階)

1) 蒲池 愛  Faily Circle  - 日本初演 –
2) 門脇 治  ...space...  - 日本初演 –
3) 松尾祐孝  A Double Fiber of Resonance
       – Miso Music委嘱作品/日本初演 –
4) 三枝木宏行  Le psradis embouteille  - 世界初演 –
5) Cadavre Exquis  - Miso Music創立25周年記念作品日本初演 -
〜18人のポルトガルと日本の作曲家による記念共作作品〜
6)  Miguel Azguime – Derrière Son Double
       - Casa da Música委嘱作品/日本初演 -

演奏:Sond'Ar-te Electric Ensemble
http://www.misomusic.com/ingl/crea/sondartei.html
指揮:Pedro Neves
エレクトロニクス制作:Miso Stusio
エレクトロニクス協力:Oasis Sound Design Inc.
洗足学園音楽大学/音楽・音響デザインコース

入場料:ワークショップ (12月18日):全自由席1,000円
    メインコンサート(12月19日):全自由席2,500円
               通し券(12月18日&19日)    :全自由席3,000円 
    洗足学園音楽大学演奏部で前売り中

♪洗足学園音楽大学演奏部
☎044-856-2981(平日10:00〜17:00) E-mail: ensou@senzoku.sc.jp
♪洗足学園音楽大学 www.senzoku.sc.jp
♪日本=ポルトガル交流2010実行委員会(実行委員長 : 松尾祐孝)
☎03-3748-0303  Fax:03-3748-0330




2010年11月30日火曜日

高嶋みどり作品リハ中

今夜の室内オーケストラの新地平 2010年11月30日(火)19時開演 
めぐろパーシモン大ホール
湯浅譲二、高嶋みどり、橋本信、松永通温、南 聡 
高嶋みどり作品リハーサル中です。

2010年11月29日月曜日

室内オーケストラの新地平〜作曲:高嶋みどり



高嶋みどり作曲《Baby  Universe  II 》


昨年、日本的情念の非常に濃厚な <室内歌劇 金剛蔵王> を作曲した。
その反動 というわけでもないが、この <Baby  Universe  II >では、湿度のない世界、ミクロの<点>しかない世界、素粒子が浮遊しているような(素粒子が何かよくわからないのだが)世界、・・・・ を描いてみた。地獄的な暗黒ではなく、何もない暗黒、空間もあるのかどうかすらわからない、何を持ってその輪郭とするのかもわからない <宇宙>の 獏とした無機的な世界、けれど確実に<ある>らしい世界 ・・・・世界と言っていいかどうかわからない、空間と言っていいのかもわからない、・・・だから宇宙と言うのかも知れない・・・ 何か<もの>のような あるような ないような <もの> でないような・・・・、曲です。ともかくも 在る 世界・・・・を書いた・・・ 曲、です。


かつてない構造への挑戦も試みてみたいと思ったが、音がひとたびなり始めると必ず形が生まれてしまうし、在る、という事は 形を持ってしまうわけだから、形の見えない宇宙にもこの曲にも結局形はあるわけで、・・・だから・・・だから何なんだ・・・などと、支離滅裂な事を考えながら作曲した 曲です。


そして、始めから目をこらして聴いていただきたい曲でもあります。
始めに奏でられるべき 音楽は はたして 何だったのか、耳をこらして 両眼を見開いて、聴いていただきたいと思います。


弦楽器の弓を縦に運弓する奏法や、sul tastoのfによる(pではない!!)奏法での音色も多様した。Flや Fagの 特殊奏法、ピアノコンチェルトのようなピアノの活躍等、演奏家の名人芸も見せ場である。


・・・・というような曲です。大雑把に言えば全体を通して、無機的、金属的、極小の点の集合であるように非常に短い音 で形作られている曲 と言えるかもしれない。


後半で、美しいがはかなくて、憂いがあるようで無機的な印象的なフレーズが奏でられる。 これが何なのかは、聴衆の皆様の想像力にお任せしたいと思う。


・・・かつて私が書いた曲の中で最も音量の少さい曲、でもあります。
スコアはかなり<真っ黒>なのですが。
随分タイギョウに演奏している様なのに 微かにしか音が聞こえてこなかったり、真っ黒なスコアなのに、みんなで演奏しているのに・・・・聴こえなかったり・・・・そんなトリックアートのような世界でもあります。

JSCMユース・チェンバー・オーケストラ〜 指揮:安良岡章夫

湯浅譲二作曲《7人の奏者のためのプロジェクションズ》

1955年に発表、同年7月12日「実験工房室内楽作品演奏会」にて初演。 
私は30年以上前、学生時代ににこの作品を録音で聴き、
その響きに心を奪われた記憶がある。
そこにはある「共感」するものがあったと記憶している。
それは当時、能を中心とした日本の伝統音楽に熱中していたため、
この作品の響きに日本的なものを見出したのであった。

湯浅先生は小学生の頃、ピアノと共に宝生流の謡を稽古された。
高著「人生の半ば」によればこの作品の最終楽章は、
能の囃子から序の舞、大ベシ(天狗の出の囃子)等が
ゼスチュア的なパターンとして引用されているとのこと。
そして「三ツ地」というリズムパターンに言及され、
この楽章の時間構造について述べられている。
また、第二楽章や第五、第六楽章の静的な音世界は、
「非連続な、流れないスタティックな時間」(「人生の半ば」による)を強く感じさせ、 
これらは西洋音楽とは異なるものが感じられる。

しかし、12音技法で書かれたこの作品の素晴らしさは、
日本的な素材を含みながら、その効果を狙うなどという次元とは無縁の、
極めて純度の高い、厳しい音の世界である。
リハーサルの初日に、第一楽章の音を出した途端に、
失礼ながらその後の湯浅先生の作品を多く聴いてきたとは言えない私ではあるが、
その音色感にすっかり魅了されてしまった。
それは演奏の現場に居てはじめて分かるものかも知れない。
それは7人の若い奏者の面々も感じられたと思う。
ともかく今回、演奏の機会を頂き真に光栄である。

さて、作品のことについて述べるのはこの位で止めようと思う。
聴衆の皆さんがどのようにお聴きになるか、楽しみである。
いや、演奏する側も聴衆としての耳を持たねばなるまい。
そのことを世阿弥は「離見の見」と記しているのだが。