2009年11月3日火曜日

現音・今昔(5)トイピアノ


朝日現代音楽賞受賞者のピアニスト「須藤英子」さんは、トイピアニストでもある。その彼女が、この十月に東京・門前仲町の新ホールで、トイピアノによる演奏会を開催した。
 トイピアノ?要はオモチャのピアノである。オモチャで現代音楽?不思議なプログラムの演奏会は、前半にアレンジ作品(モーツァルトのトルコ行進曲や歌など)と、ジョン・ケージの作品。後半はトイピアノのために今回書き下ろされた“オリジナル”作品だった。そこに現音の若手会員が参加されていた。
 現代音楽に日頃感心の無い聴衆が多く、散々な結果になるのではないか?と危惧をしていたが、結果は反対だった。オリジナルが三作揃い、どれもトイピアノに、その演奏家に“未来”を感じさせる新世界が拡げられていた。いや、正直驚いた!アンケートも新作に支持が集まったそうだ。この小さなコンサートから世界へつながる音楽の道を見いだした喜びがあった。
 目の不自由なひとがトイピアノから音楽の道を開き一躍有名になった“トイ”の存在。日本のトイピアノ音楽の草分け的存在な須藤さん。さすが実力者揃いの若手現音会員諸氏。三位一体で問いと応えはこれからも続いて行く。
坪能克裕

0 件のコメント:

コメントを投稿