2010年3月13日土曜日

現音でしかあり得ない!?多彩なプログラム! <コンチェルトの夕べを>お聞き逃し無く!


昨日のニュースで発表されました、文部科学大臣賞を箏の吉村七重先生が受賞されました!!
当協会2009年度事業の最終公演=<コンチェルトの夕べ>が、いよいよ迫ってきました。
山下一史指揮/桐朋学園オ大学オーケストラによるリハーサルも、日に日に熱を帯びてきました。去る3月11日には公開リハーサル形式によるワークショップも行われ、作曲家自身の作品のコンセプトや聴き所の解説を交えてリハーサルを兼ねたサンプル演奏が披露されて、各作品の音楽性と個性が浮き彫りになりました。その内容は、日本でしか、そして現音でしかあり得ない、痛快なまでに素晴らしい多彩さで、本番に向けてワクワクしている出品者自身の松尾祐孝です。
それにしても、全くの偶然で独創性満載の協奏曲作品4曲が並ぶプログラムになり、
その独奏者の陣容には、堤剛氏(チェロ/2009年度当協会公演芸術監督)、吉村七重氏(二十絃箏)、蛭多令子氏(ピアノ)、本條秀慈郎氏(三味線)という多士多才が勢揃いして、これは正に“現音創立80周年記念プログラム”と言えるようなラインナップになりました。
さて、2つ目のビッグニュースです。その独奏者陣のお一人、吉村七重さんに[朝日現代音楽賞]が贈賞されることが決定しました。拙作「フォノスフェール第4番-a〜二十絃箏と管弦楽の為に」の初演へのご出演が、はからずも受賞披露演奏のようなタイミングになり、とても嬉しく思っています。
このニュース以外にも、
1) 現音創立80周年(1930年創立)に開催の<現代の音楽展>最終夜!
2)矢代秋雄「チェロ協奏曲」の、初演(1960年、チェロ/堤剛、会場/杉並公会堂)から50年目の、同じ独奏者と同じ会場の組み合わせでの演奏!
3)二十絃箏誕生40周年の記念年度に二十絃箏協奏曲を発信!
等々、トピックス満載です。
“現音でしかあり得ない!?多彩なプログラムによる<コンチェルトの夕べ>を、
どうぞお聴き逃し無く!
(記・松尾祐孝/<コンチェルトの夕べ>出品者)

2010年3月8日月曜日

プログラム訂正のお詫び

3月6日(土)は<箏フェスタ>
にご来場頂きありがとうございました。作曲家の個性、演奏家の個性、両面が際立つ内容で
活気溢れるの盛会となり、有意義な公演が実現いたしました。
篠田大介氏 星月夜で演奏してくださった吉川由里子さんのプロフィールが
掲載されておらず、大変申し訳ございませんでした。
お詫び申し上げます。
日本現代音楽協会
吉川由里子 (箏)
正派音楽院を首席で卒業。同研究科終了。
2004年文化庁新進芸術家国内研修員終了。
2007年賢順記念全国箏曲祭コンクール奨励賞受賞。
2008年日本現代音楽協会 朝日新聞社主催
「第8回現代音楽演奏コンクール 競楽Ⅷ」に二十絃箏二重奏
「南聡/昼Ⅳ」で第2位受賞

2010年3月4日木曜日

箏フェスタ 変革と調和 糸が織り成す世界


広報部の蒲池愛です。
3月6日(土)17時から洗足学園前田ホールにて箏フェスタで演奏していただくのですが、私の曲は今回20絃箏とライヴエレクトロニクスの為の曲です。
学生時代まったく邦楽器に興味のなかった私でも吉村七重先生と石垣清美先生の現音開催箏ワークショップに参加いたいしましてこの20絃箏の魅力と可能性をとても感じました。
そして20絃なのに本当は21絃あるというこれまた日本人らしい言い方がとても気に入り、21本目には音を止めるだけ為の役割ではなく、そこに赤いレイザーセンサーを渡して演奏者が演奏したフレーズや音を演奏者自身がバーチャル絃を操って制御するというコンセプトで作曲しました。他20絃すべてにもセンサーをつけて弾いた情報が感知できるようになっています。うまく行くかはわかりませんが(笑)
特設ライヴエレクトロニクスステージでは私の作品と山本悦子氏の華やかな作品そして
メインステージでは篠田大介氏、岡坂慶紀氏、渋谷澤兆氏、遠藤雅夫氏、佐藤昌弘氏、
そして箏アンサンブルに新風を巻き起こした夏田昌和氏の作品、三木稔氏、田丸彩和子氏、最後は20絃箏ができて40周年のお祝いにふさわしい華やかでダイナミックな松尾祐孝氏の作品です。
あさってなんですが、ちょっと雨模様になりそうですが、会場の中は華やかな世界になっておりますので是非足を運んでいただけますようどうぞ宜しくお願いいたします。

2010年3月1日月曜日

「世界に開く窓」出演:増本竜士(フルート)

「いつかは現代音楽協会から演奏依頼があるだろうな・・。」と思っていた(恐れていた)ある日に3月3日の演奏会についての連絡があった。
 
2009年夏に日本に完全帰国し、最近はオーケストラの演奏活動が多く、「ピッコロを専門的に勉強してきた」自負(・・があったりなかったり)をもって、在京・在阪のオーケストラに賛助出演しに駆け回り、各地でのコンサートもフルートだけでなくピッコロの演奏も混ぜたプログラムで演奏活動を行ってきた。
 
大型楽器の演奏家には申し訳ないのだが、「フルートもピッコロもひっさげて大変や〜」とオーケストラでの即戦力・特殊楽器(=ピッコロ)のスペシャリストとして「ひとつひとつの演奏での評判を大事にしていこう」と日々過ごしていたが、協会からの以来演奏曲目はなんとバスフルートとアルトフルートの為に書かれた もの。
 
「えーっと。楽器の調達の問題がありますので簡単にはお返事が出来ないのですが・・」と一度は答えたものの、現代のフルート吹きとしてオーケストラでのピッコロと現代音楽への既知と実践は必須条件と(個人的に)考えているので「(日程と楽器の調達を)何とかします!」と返事をしてしまった。
 
その電話の直後から不安は日に日に大きくなり、(なにせアルトフルートはオーケストラで何度か吹いたことはあるもののソロは初めて)とにかくフルート属の大型楽器アルトとバス・フルートの「特訓を開始せねば・・」とまず気が焦った。
 
皆さん。想像あるいは実践してみて下さい。
 
●普段使っているお箸を菜箸に代え、さらに細長くて重い金属製のものに代え、さらにはすりこ木あるいは麺打ち棒で麺類を食べる。
●あるいは一日中鉛筆ではなく鳥の羽の根元部分で文字を書く、太マジックだけで書く、筆ペンまたは筆で書く。などなど
 
「ね!考えただけで手が痛くなってきたでしょ?」(笑)
 
このように(・・どのように?)特訓開始当初はバスフルートの重量に、肩も手も疲労感に苛まれ、アルトフルートではやたら吹き込む息の当たるポイントの広がった音域コントロールに悪戦苦闘し、慣れきっていたフルートとピッコロの持ち替えとは段違いに難しい低音フルート属楽器に悩まされました。
 
そうこうするうちに低音フルート属の持つ柔らかな音色・響きを掴む事も出来はじめ、作品の持つ表現世界・立体的な音楽が見えてきた。
 
来週の演奏会にはサクソフォニスト並みの大きな楽器ケースをひっさげて会場に向かうことでしょう。
 
「現代の音楽」を演奏する際、その多様な世界観を表現するにあたり、従来のレパートリーでの演奏よりも(いわゆる)普通のフルートでは、際限のない閉塞感だったり、深遠な表現と多彩な音色を意識する。
他方、ピッコロでは破壊的なまでの運動性・その高い音域から生まれる緊張感とそれに対比する柔らかな低音(木管らしい柔らかな音色)を意識して前面に押し出すことが多い。
 
今回の演奏会ではクリスチャン・カロン作品ではテープ録音に内在する音素材にどこまでも溶け込む「音色と息によるノイズ」を、湯浅作品ではどこか遠くから聞こえてくる朧ろげな「モノトーン的な立体感」を意識している。
 
低音フルート属での演奏にふさわしいこの2曲に「都市世界における閉塞的なノイズ」や「朧げな記憶による乾いた風景の具現化」などの(勝手に想像した)イメージをヒントにして表現をのせて演奏したいと思います。
 
目に見えない「風」やら「空気」あるいは「閉塞感」などを「音にしてみたらこんな感じでかな?」と譜読み中に考えてみたり、「どこまでも内に篭ってみるとどういう音が見えてくるのか?」などなど、作品の読解作業に「自己を知る・見つめる」ヒントが隠されてるような気もする。
 
和洋を問わず、どの文明にも存在する「笛」
今回自身も始めての試み・発見でもあったアルフルート・バスフルートの持つ音色感。
まさに風や空気の具現化といえる表現世界。それから柔らかで染み渡る郷愁的な音。作品の持つ魅力を存分に引き出し、多彩な表現をたっぷりとのせていきたい。
 
3日の演奏会は4曲とも個性あふれる作品ばかりです。願わくは私も聞きに行きたかったコンサート。是非とも応援と共に足を運んでくだされば!と思います。
 
「現代音楽」を同時代に生まれる芸術として共感してみるのって興味深い素敵な行動だと思います。
 
「モダンアート」まだまだ体験・経験する分野も事象もたっぷり残されているようです。
協会に感謝ですね。バスフルート本当に重いけど。。楽器調達大変だったけど。。(笑)