2010年9月30日木曜日

新人賞入選者からのメッセージ(4)山下創太



『マズローの欲求段階説による組曲』

9月25日、吉祥寺の十字屋吉祥寺サロンにて、マズローの欲求段階説による組曲の初練習が行われました。店内は上品で落ち着いた雰囲気で、ハープの楽器がもつイメージにぴったりだったように思います。今回、演奏してくださる篠田恵里さんと片岡詩乃さんは先にご到着されており、簡単に挨拶をすませた後、さっそく練習が始まりました。

いざ練習が始まると、それまでの和やかな雰囲気が一変。お二人とも積極的に作曲者の意図を演奏表現に取り入れようとしてくださり、時間が経つにつれ曲がどんどん良くなっていき、作曲者としては本当にうれしい限りでした。今から本番が楽しみです。

今回のマズローの欲求段階説による組曲ですが、アメリカを代表する心理学者アブラハム・マズロー(1908〜1970)によって提唱された、人間の内面的欲求を五段階で理論化されたマズローの欲求段階説に2台ハープのアンサンブルを照らし合わせて作曲されたものです。曲は生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求の5つの組曲で構成され、それに応じた2台ハープのアンサンブルの変化がこの曲の聴きどころとなっています。

皆様、10月4日はぜひとも会場に足をおはこび下さいませ!

2010年9月29日水曜日

新人賞入選者からのメッセージ(3)竹岡智行



『ハープとチェロのためのレゾナンスランデブー』

現音ブログをご覧になっている皆さん初めまして。このたび現音作曲新人賞のファイナリストとなりました竹岡智行と申します。

このブログを書いているのは2回目の併せに立ち会ったところですが、ハープ、チェロ共に勉強になることが多く、またとても熱心に曲を見てくださる篠田さん、松本さんのお二方には感謝しっぱなしです。本当にありがとうございます。

今回の曲のコンセプトは「共鳴」と、「あるスケールからの離脱と回帰」です。「共鳴」はそれぞれの楽器で同じ音、もしくは少ない数の倍音を意図的に並べ耳に残るように考えています。「スケール」はリディアンスケールを元に作っています、そこから幾重にも他のスケールへ派生しています。

と、ほんの少しコンセプトについて触れましたが、聴いて下さるすべての方に「何か」を感じてもらいその時間を楽しんで頂くことが一番のコンセプトです。

ぜひ聴きに来て「何か」を感じて頂けたら幸いです!

2010年9月28日火曜日

新人賞入選者からのメッセージ(2)田口和行



in the dark

今年のお題が『ハープを含む二重奏作品』だと知った時、真っ先に思い浮かんだのが「ハープに『闇』の性格を託す」ということでした。しかし、ここから数ヶ月間、音符が一つも書けませんでした。私は、タイトルが決まらないと作曲出来ないのです。

とある月曜の深夜番組。その日の内容は、「プロでも倒すのが難しいとされるボウリングのピンの配置10種類を全て倒すまで帰れない」というもの。中でも「ピンの真後ろに別のピンが隠れている配置」は特に難しく、それを『in the dark』と呼ぶらしい。

「これだ!」と思いました。そして、曲の全体像を一気に見通すことが出来ました。あとは、五線紙に書くだけ……。

今回、林憲秀さんと片岡詩乃さんのお二方に、『現音創立80周年記念シリーズオープニングコンサート』という場で初演して頂けることを、大変嬉しく思っております。そして、初演に立ち会って下さるあなたと出逢えることを、楽しみにしております。

2010年9月27日月曜日

新人賞入選者からのメッセージ(1)ダニエーレ・ヴェントゥーリ

本日より毎日「第27回現音作曲新人賞」の入選者からのメッセージを掲載していきます! 連載第1回目はイタリアより応募し入選した、ダニエーレ・ヴェントゥーリさんです。ヴェントゥーリさんは来日し、本選会にも参加します。
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●第27回現音作曲新人賞入選:ダニエーレ・ヴェントゥーリ
 《天使の弦》は、先年没したイタリアの詩人アルダ・メリーニ(1931-2009)の詩集"La carne degli angeli"(天使の肉体)所載の詩編"Angeli che avete bisogno del suono"(音が必要な天使)に触発された。叙情的活気とダイナミック/表現のコントラストを伴なう、エコーと反復で満たされた作品である。(プログラムノートより。訳:三枝木宏行)

“Angeli,
che avete bisogno del suono,
angeli,
che non vi pentite.
Angeli,
che siete l'invidia e il desiderio dell'uomo.
Potesse l'uomo avere una sola delle vostre ali
per uccidersi di vero amore.”

(from La carne degli angeli by Alda Merini, Frassinelli Edition)

Angels,
you who need sound,
angels,
you who do not regret.
Angels,
you are the envy and the wish of mankind.
If only a man could have just one of your wings
to kill himself with true love.

2010年9月20日月曜日

松尾祐孝のリスボン便り・第5弾

<Musica viva 2010>の拠点会場の一つのベレン文化センターのエントランスは、
近代建築の典型的なシンメトリックなデザインですが、どこか古代巨石文化を
思わせる荘重な雰囲気が漂っています。(写真1)
コンサートに向かって歩いていくと、どこからともなく電子音楽が聴こえてきます。
見上げると、左右4個所にスピーカーが設置してありました。(写真2)
これが、<Musica Viva>の<Sound Walk>です。
1~2分の短編エレクトロニクス作品を国際公募して、セレクトした優秀作品を
再生展示するという趣向です。道行く人々が歩きながら耳を傾けたり、
時に足を停めて聴き入ったり、正にsoundを聴きながらwalkするというものです。
日本からの応募も少なくないらしく、今年は2作品が入選したらしいですよ!。
さて、いつまでも滞在したいほど居心地の良いリスボンですが、

帰国の途につかなくてはなりません。今回のリスボン便りはこの辺でお開きにしましょう。
あらためて、Miso Music portugal 創立25周年おめでとう!
そして、現音の創立80周年記念事業がいよいよ来月に開幕です!
(記事:9月19日/リスボンにて)






松尾祐孝のリスボン便り・第4弾

<Musica Viva 2010>ベレン文化センターを拠点シリーズの第3日は9月18
日に開催されました。15時からの公演は言わば「現代音楽・親子コンサート」
の趣で、語りと現代音楽(エレクトロニクスやSond'Ar-teの演奏)の組み合わ
せで、親子で楽しめる物語作品が4曲演奏されました。会場は、小さい子供
の歓声も飛び交い熱気むんむん。終演後に、Miguel Azguime氏と「子どもは
未来に向けての宝物!」と共感し、また現音の現代音楽教育プログラム部会
(EPCoM)の活動についても語り合ったのでした。(写真1)
夜の公演は、フィンランドからのゲスト=タピオラ少年少女合唱団の演奏会。
Kaija Saariahoの作品等、極めて難しい作品も含めて、9歳から18歳で構成さ
れるメンバー達は時に演技に身振りや楽器演奏も織り交ぜながら、天使の歌声
を響かせてくれました。特に祖国の民俗的な調べを織り交ぜた曲目のアピール
度が高く、終演後はスタンディング・オべージョンで沸きました。
土曜日の公演を親子連れでも楽しめる内容に思い切ってシフトしているMiso
Musicの企画に拍手!
未来の現代音楽の担い手や聴き手は、今の子どもたちなのです!
以下、次弾に続く・・・
(記事:9月19日/リスボンにて)







2010年9月18日土曜日

松尾祐孝のリスボン便り・第3弾

<Musica Viva 2010>ベレン文化センターを拠点シリーズの第2夜は9月17
日に開催されました。開演時刻は21時。食事を済ませた聴衆がいつの間にか
大勢詰めかけて、小ホールに約100人が集って静かな熱気に包まれて開演。
第1部は12月に来日公演(当協会80周年記念事業協賛公演)を予定している
Sond'Ar-te Electric Ensemble演奏会、第2部がスウェーデンからのゲスト=
Norrbotten Neo Ensemble演奏会。指揮は両部ともに後者の芸術監督=Petter
Sundkvist氏。
第1部の最初がいきなり拙作<A Double Fiber of Resonance>(Miso Music
委嘱作品)の世界初演。素晴らしい演奏とエレクトロニクスの作動も万全で、
作曲者としても十分に満足できる初演に恵まれました。(写真1・2)
Isabel Soveral作品を挟んで第1部の最後は、Miso Music Portugal誕生25周年
を祝して世界中の作曲家が約1分のSond'ar-te編成の小品を書き寄せた祝賀
オムニバス=<Cadavre Exquis Instrumental>の外国作曲家ヴァージョンの
お披露目。Jonathan Harvey - Crarence Barlow - Jesus Villa-Rojo - Michael
Blake - Peter Switten - Ivo Nilson - Bertrand Dubedout - Takayuki Rai - John
McLachlan - Leilei Tian - Philippe Leroux - Masataka Matsuo - Zurine
Gerenabarrena - Claude Ledoux(順番は少々怪しいですが計14人の小品)が
連続して演奏され、個性と祝祭の饗宴となりました。
25周年おめでとう!Miso Music!
尚、この<Cadavre Exquis Instrumental>のポルトガル作曲家版のお披露目が
来日公演にプログラミングされる予定です。お楽しみに!
第2部は、Rolf Wallen、Per Martensson、Fausto Romitelli、Franco Donatoni
の作品が、アンサンブルの確かな地力の上で彫琢豊かに演奏され、最後は万雷
の拍手となった。当地では若者から老人まで、新しい音楽に強い興味を持って
足を運んでいることが、聴衆の反応から強く感じられました。(写真3)
以下、次弾に続く・・・
(記事:9月18日/リスボンにて)





2010年9月17日金曜日

松尾祐孝のリスボン便り・第2弾

今年25周年を迎えているISCMポルトガル支部=Miso Music Portugalが主催する
毎秋恒例の国際現代音楽祭<Musica Viva 2010>の、ベレン文化センターを拠点
としたシリーズが9月16日に開幕しました。
壮麗な歴史的建築物として有名なジェロニモス修道院(写真1)の隣に位置する
現代的な建築物の会場(写真2)は、モダンな中にも重厚な雰囲気が漂います。
音楽祭芸術監督=Miguel Azguime氏の50歳を記念したプログラムによる地元の
弦楽四重奏団=Quarteto de Cardas de Matosinhos 出演で、小ホールに約150名
の聴衆を集めた開幕コンサートでした。Azguime氏の開幕挨拶(写真3)に始ま
り、ポルトガル支部では最早当たり前となっているエレクトロニクスとの協働も
駆使して(写真4)、Miso Musicならではのスタートとなりました。
終演時の盛り上がりは、やはりラテンの血でしょうか、大いに盛り上がっていま
した。(写真5)
そしていよいよ、今夜、同じ会場で拙作の初演です。
(記事:9月17日/リスボンにて)








2010年9月16日木曜日

松尾祐孝のリスボン便り・第1弾

今年25周年を迎えているISCMポルトガル支部=Miso Music Portugalが主催する
毎秋恒例の国際現代音楽祭<Musica Viva 2010>に来ています。首都リスボンは、
レトロな路面電車が旧市街地の狭い路地をベンツのタクシーを従えて走っている、
何とも懐かしい雰囲気を湛えた街です。特にレトロな28番路線は観光客に大人気
で、頻繁運転にも関わらずいつも満員の混雑です。(写真1)
今日から、ベレン文化センター(有名なジェロニモス修道院の隣)を会場とした
コンサート・シリーズが開幕します。私の新作の初演は明日です。Miso Music
(Miguel Azgume氏邸内)でのリハーサルも順調です。(写真2)
ではまた、明日以降のレポートをお楽しみに!
(記事:9月16日/リスボンにて)




指揮者:Petter Sundkvist 氏と Sond'Ar-te Electric Ensembleのリハーサル風景


2010年9月15日水曜日

日本応用心理学会第77回大会2010in京都大学



作曲家が応用心理学会に乗り込む!?という希有な機会が到来!松尾祐孝
(現音・現代音楽教育プログラム研究部会長)が、去る9月11日に京都大学で
「音楽づくり」ワークショップを行ってきました。
題して<みんなでつくる音の輪(和)。大学教員、心理学専攻大学院生、
障害者教育従事者、等々、様々な方の参加を得て、充実したWSが実現しました。
サポーターとして奈良在住の田口雅英会員も駆けつけてくれました。
「音楽づくり」の持つ可能性は、単に音楽教科の枠を超えて、
正に発達心理学の見地からも注目されるものに成り得るのです。
「音」そのものを素材として注目して、様々なルールや仕組みを集団で考えていってひとつの作品=ステージを創造するという、「音楽づくり」の濃密な時間の体験が、高度な思考能力や柔軟なコミュニケーション能力の育成に直結しているのです。私の担当する直前の時間帯に<プレイバックシアター>のWSが目についたので参加してきましたが、大いに勉強になりました。
共通項も多く見出せました。集団の持つ力、直感(感じる)から行動・表現(行う)に直結するというプロセスが、普段の常識=思考(考える)から行動というプロセスとは全く異なるパワーを生み出すという人間力の不思議さと偉大さを、我々はもっと認識しなくてはならないと考えさせられました。
人間は、未熟だけれど、素晴らしい!


松尾祐孝(ポルトガル/リスボンより)

2010年9月7日火曜日

現音twitter企画第2弾!

第2回 裕之(作曲家)×橋晋哉(低音金管楽器奏者)
2010年9月8日(水)22時〜 
今日の音楽シーンを彩る二人のアーティストの対談が「twitter(ツイッター)」上で実現します! 
現音ブログをご覧のみなさま、是非、リアルタイムで行われる芸術談義に参加してみませんか!?
Twitter対談 作曲家山本裕之×低音金管楽器奏者橋本晋哉
対談の参加方法
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現代音楽の庭』http://twitter.com/jscmgarden