2010年2月11日木曜日

<現代の音楽展2010>への出品に寄せて

<現代の音楽展2010>への出品に寄せて
今回の<現代の音楽展2010>に出品する松尾祐孝です。
今回は、二十絃箏を独奏に据えた大作2曲を発表いたします。今年度は、二十絃箏が1969年に誕生してから40周年にあたります。そのお祝いの気持ちも込めて、邦楽器合奏との協奏曲=<糸の書>と、オーケストラとの協奏曲=<フォノスフェール第4番-a>の両作品を、日本音楽集団や各方面との協働の下に準備してきました。
当協会創立80周年と合わせた記念の節目に、姉妹作を一挙に発表できることに感慨無量です。
並行して作曲したので、曲想はかなり異なるものの、両曲は独奏パートの相当部分を共有しています。
二十絃箏独奏が、時に合奏と融合し時に反発しながら、音(phono)空間(sphere)を生成していきます。特に後者では、左右対称に分割した弦楽器群、後方の管楽器群、下手・中央・上手から呼応する打楽器を従えて中心に位置する二十絃独奏が、縦横無尽にその魅力を発散します。吉村七重さんの渾身の独奏が、作曲者としても今から楽しみです。
様々な時代に誕生した伝統音楽が数多く息づき、普遍性と独自性を持つ逞しい伝統楽器を数多く有する
日本に生まれた文化の恵に感謝しつつ、邦楽器の協奏曲的作品をライフワークの中心として、これからも作曲活動を展開していきたいと考えています。拙作のみならず、箏作品と箏奏者のラインナップが壮観な<箏フェスタ>と和洋楽器4種の協奏曲が揃い踏みする<コンチェルトの夕べ>のプログラム全体に、どうぞご期待ください。

(記:松尾祐孝)

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