現音ブログをお読みの皆様、新年明けましておめでとうございます。事務局長の佐藤です。2010年、ついに日本現代音楽協会創立80周年幕開けの年がやってきました。厳しい社会情勢にあって、手放しで喜べない現況にはありますが、創造の火をたやさないために、協会の運営に精一杯前向きに努めたく存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、おめでたいお正月ですが、正月というと私には忘れられない思い出があります。あれは中学3年のとき、私は元旦から風邪をひいてしまい、せっかくのお節料理にも箸もつけず終日寝込んでいました。夕方になって幾分症状が柔らいたので、ヘッドフォンつけてFM放送を聴きながら横になっていました。そのとき耳にしたのが、マウリッイオ・ポリーニのピアノリサイタルの録音で(どこの国での公演かは失念しましたが)、ちょうどブーレーズの第2ソナタをやっていまして、これが図らずも私の現代音楽との出会いとなったのでした。その頃の私は、耳にしたことのある一番新しい音楽というと、初期のシェーンベルク止まりでしたので、ブーレーズのこのソナタが、どんなに先鋭な響きに聴こえたかはいうまでもありません。しかもポリーニの無敵の演奏です。私が当事好きだった、いかなるハードロック(もはや死語ですね)の音楽よりも、格段に刺激的でした。とにかく凄くエキサイティングしまして、聴くにつれ、ふたたび風邪の熱が上がっていき、症状の苦しさとブーレーズの音楽の快楽が渾然となって寝床でのたうちまわっていた訳です。
その後、年を経て、ブーレーズの第2ソナタよりはるかに先鋭な曲を多く耳にしましたが、中3の元旦の、あのエキサイティングな夜を凌ぐことはありませんでした。という訳で、ブーレーズの第2ソナタは、私にとってちょっと特別な曲なのです。
事務局長:佐藤昌弘
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